「ITはよく分からない。メールは使えないし、Webサイトのこともよく知らない。SNSって何だ?セキュリティー?個人情報?そんなものはどこかのIT企業に任せておけばいいんだ」。

 もし、あなたの会社の社長がこんなことを言ったらどう感じますか。この社長は大丈夫か、さすがにこの時代にメールもSNSも使えないのは話にならない。このままでは会社の未来は危ないのではないかと不安に思うのではないでしょうか。こんなことを大勢の前で話す社長は、失笑を買うこと間違いないでしょう。

 もちろんITの力を借りなくてもうまくいく企業はありますし、ITが全く分からなくても素晴らしい成果を上げている社長はいます。しかしながら、それはかなりまれなケースです。

 では、冒頭の発言の「IT」を「AI(人工知能)」に置き換えてみましょう。

 「AIはよく分からない。データ分析はできないし、ビッグデータのこともよく知らない。機械学習って何だ?AIを活用した業務効率化?AIの運用?そんなものはどこかのIT企業に任せておけばいいんだ」。

 社長がこう言っても、もしかしたら今は違和感を覚えないかもしれません。しかしこんな発言をした瞬間に「大丈夫か」と思われる日が、数年後には必ず訪れます。

ニュースを読んで活用事例を把握するだけでは不十分

 筆者は、企業に対する技術コンサルティングや、自治体のIoT(インターネット・オブ・シングズ)プロジェクトのアドバイザーなどを手掛けています。様々な自治体や企業に足を運んで経営者やマネジャーと接する中で、日本のAIに関する出遅れを痛感しています。

 各国のAIの進展度は、しばしば大学が発表するAI関連の論文数で比較されます。もちろんそれも大切な指標ですが、筆者は「AIに関する知識が幅広い層に浸透しているか」「その知識を基に、どれだけの企業がAIに取り組み始めているか」の方がはるかに重要だと考えています。

 決して、すべてのビジネスパーソンがAIを開発できるようになるべきだと言っているのではありません。ただしAIに関する最低限の基礎知識は、今や企業で働く人にとって「常識」と言えます。どのような役職や立場であっても備えておくべきです。

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