2019年10月1日に消費増税と同時に始まった「キャッシュレス・ポイント還元事業(正式名称はキャッシュレス・消費者還元事業)」を巡って混乱が生じている。同事業の対象店(加盟店)への登録申請は続いており、混乱は長引きそうだ。

わずか8日間で加盟店を「自主的に辞退」

 代表的な混乱の1つが、楽天ビックが加盟店を10月8日正午で辞退する事象だ。同社は楽天とビックカメラの合弁会社でネット通販サイトを運営している。10月1日から加盟店として、客に購入金額の5%を還元していた。

楽天ビックはキャッシュレス・ポイント還元事業による還元辞退を告知
(出所:楽天ビック)
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 加盟店をわずか8日でやめる理由について、同社はWebサイトで「当該事業の趣旨等を改めて勘案した結果、当該事業の参加を辞退することになった」と説明した。ビックカメラグループ広報は「あくまで自主的な判断だ」とする。

 キャッシュレス・ポイント還元事業は、経済産業省が中小・零細企業向けに始めた施策だ。消費増税による消費の冷え込みを緩和しつつ、キャッシュレス決済を促すのが「趣旨」だ。なお還元の原資は補助金として国費でまかなう。

 大企業同士の合弁会社である楽天ビックが加盟店として登録されたのは意外かもしれない。ただビックカメラグループは「楽天ビックは経産省の審査基準にのっとって加盟店を申請し、認可された。申請の過程で何らかの誤りがあったわけではない」(広報)と説明する。

 同事業が対象とする「中小企業」の法的な定義は、小売業では「資本金5000万円以下もしくは従業員数50人以下」である。楽天ビックは資本金と従業員数を非公開にしているが、ビックカメラグループは「従業員数は50人以下」(広報)と明かす。

 また同事業は「過去3年分の平均申告所得が15億円を超える事業者」を加盟店の対象外としている。この点、楽天ビックは通販サイトを2018年4月に始めたばかりでまだそこまで利益を出していなかったとみられ、加盟店の要件を満たしたようだ。法的な基準を満たしているにもかかわらず自主的に辞退したため、利用客にとっては還元を得られなくなるデメリットが生じた。

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