MaaS(Mobility as a Service)は鉄道を良い方向に変える。「駅まで」「駅から」に弱いという鉄道の欠点を補えるし、指定席車を連結するコストを下げられる。一方、JRの動きを見ると、どうもグリーン車はもうかるらしい。民鉄もMaaSの時代にはグリーン車の指定席でもうけたいだろう。小田急電鉄だけは、それができる条件を揃えている。グリーン車を連結することをお勧めする。ところが小田急はそのチャンスをぶちこわすような動きを始めた。

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(写真:小田急)

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 小田急は新型通勤車「5000形」を10両連結(10連)で投入する。今8両連結(8連)で残っている各停の10連化に着手したということだろう。これはまずい。10連化が完成してしまうとグリーン車を連結するに当たって問題が2つ起こる。大量の改造が必要なこと、ピーク時に各停の普通車を10連から8連に減らすことによる反発――である。

準ピーク時の時間帯で増発減車

 グリーン車を連結するには8連を10連化してはいけない。8連を温存して増発減車する。東北線、高崎線は増発減車とグリーン車の連結を同時にしたが、これを分離する。すぐに増発減車に着手して周到に準備し、MaaSを待つ。

 複々線化でピーク時の運転本数は1時間当たり27本から36本に増えた。36本からさらに増やすには、折り返し設備などに追加投資が必要になる。当面できることとして、ピーク時はそのままにして前後にある“準ピーク時”で増発する。

 1サイクルに快速急行2本、通勤急行1本というピーク時のパターンを守りながら、1サイクルを10分から11分、12分と次第に延ばしていく。ピーク時は“総動員態勢”なので特急が走らないが、準ピーク時は走らせる。乗り入れ先の千代田線には固定したサイクルがあるのでピーク時のように絶妙な接続をするわけにはいかないが、需要が落ちついているので問題はないだろう。

 増発と引き換えに10連の快速急行、通勤急行を8連に減車する。千代田線乗り入れ車は千代田線側の都合もあるので減車しない1)。ピーク時の快速急行、通勤急行は増発できないので減車しない。ピーク時の新宿行き各停は8連のままとする。理由は後述する。

1)千代田線(町屋・西日暮里間)の混雑率は首都圏12位。

 減車した8連は新宿で折り返して昼間の快速急行、急行として走り続けるので、昼間は増発を伴わない純粋な減車になる。すでに大幅な増発をしたので昼間は余裕がある。許される範囲だろう。

 帰宅ラッシュ時は1時間当たり36本よりずっと少ないので、8連が増えた分だけ増発減車する。

 減車する快速急行、急行には各停から8連を転用し、入れ替わりに10連を各停に転用する。回り道ではあるが、結果的にピーク時以外の各停は増結できる。

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