小田急電鉄が、12年ぶりの新型通勤車である5000形を10両連結(10連)で2019年度内に導入する(図1)。ホームの長さは10両分あるのだから、普通に考えれば正しい。しかし素直過ぎる。もっと深慮遠謀があっていい。将来を見通せば、正解は10連ではない。新型車を入れるのなら8両連結(8連)にして数を減らし、増発した方がよい。

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図1 小田急5000形のイメージ
10両編成。設備の能力を一杯に使うのは正しい…ように見えるが。(写真:小田急)

 話の始まりはMaaS(Mobility as a Survice)だ。将来、無人運転のロボットタクシーが普及し、MaaSプラットフォームができる。モバイル端末に今の乗り換え案内アプリのようなものをインストールし、ロボットタクシーだけでなくカーシェア、ライドシェア、自転車シェア、そして鉄道、バスも含めて時間や価格を比較して選択、そこで予約、呼び出し、決済する。

 IT関係者、自動車関係者が盛り上がっているが、MaaSは鉄道の味方でもある。鉄道は「駅to駅」では最強なのだが、「ドアtoドア」がからきしダメ。両端をロボットタクシーなどで補うことによって“全域最強”を目指せる。

MARSからMaaSへ

 もう一つ利点がある。発券システムの使い勝手が良くなり、負担が軽くなる。

 JR各社は全国の駅にある「みどりの窓口」と超大型コンピューターを結んだシステムMARS(Multi Access seat Reservation System=旅客販売総合システム)を持っている。これが使いにくい。「航空機もホテルもネット予約の時代になぜ」と思いながら行列に並んでいる人は多いはずだ。実はネット予約もできるのだが、受け取りに行く必要がある、というオチがつく。

 普通列車1)のグリーン車にある「グリーン車Suica」という自由席のシステムも使いにくい(図2)。駅で買うと安いのだが座れないリスクがある。リスクを避けて車内で買うと高くなる。

1)特急料金、急行料金を取らないという意味で、各駅停車とは違う。快速、特別快速などと呼ばれることもある。

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図2 ホームにある券売機
紙の切符は出てこないので“販売”かどうか疑わしいが、JRは「券売機」と呼んでいる。(筆者撮影)

 MaaSができると、指定席の販売を“丸投げ”でき、それらの問題は解決する。いつでもどこでも並ばずに予約できるし、運営コストも下がる2)。駅ナカの一等地にある「みどりの窓口」を廃止すれば跡地で新しい商売ができる。監視、認証、解錠の装置はMaaS向けに量産して安くなったものを流用できる。普通列車のグリーン車を指定席にして予約、販売をMaaSに任せれば問題のグリーン車Suicaをなくせる。

2)MaaS業者にマージンを払う必要はあるが、競争原理が働くだろう。

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