要件定義で関係者の合意を固められると後工程の手戻りを減らせるが、一筋縄ではいかないものだ。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集し、ITコンサルタントが現場で培った実践ノウハウを紹介する。

 今回は要件定義の会議中に進行役のファシリテーターが実践する合意形成のポイントを3つ取り上げる。「発言者の偏りなくし全員を議論に巻き込む」「出された意見の意味や論点を全員に認識させる」「結論を出すときに全員の意見を再確認する」だ。

発言者の偏りなくし全員を議論に巻き込む

 会議には、いわゆる“声の大きい人”が存在する*1。積極的に発言したり、職位が上だったりして、全体の意見に大きな影響を与える人のことだ。

*1 最終承認者やオピニオンリーダーを「キーパーソン」と位置付けて、その人に集中して意見を聞くのは間違いである。「効果的で実現性の高い案を作る」「決まった案をスムーズに実行する」という視点から考えると、他のメンバーの多くも「キーパーソン」である

 プロジェクトの会議でも、そうしたメンバー(参加者)を中心に議論が進みがちである。これを仕方がないと片づけてはいけない。発言者が偏ると、発言の少ないメンバーは「議事進行が公正・中立でない」と考え、確実に参画意識が薄れていく。

公平・中立を欠く議事進行の典型例
ITエンジニアやコンサルタントが顧客のユーザー企業でファシリテーターを務める場合、外部の人間ということでただでさえ不信感や警戒心を持たれがちだ。一度信用を失ったら回復は極めて難しいため、公正・中立な立場を努めてキープする必要がある
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 逆に議論に参加して「自分の意見が役に立った」「結論に反映された」と実感すれば、参画意識は大きく高まる。メンバー全員を巻き込んで議論し結論を出すことは極めて重要である。