SEにとって重要な思考力を効果的に伸ばす方法がある。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集した。「悩む」と「考える」の違い、考えることの本質を理解し、ロジックツリーやブレーンストーミングなどの「思考法」をマスターしよう。

 SE(システムエンジニア)にとって極めて重要な「論理的に考える思考力」。その1つは、様々な種類の情報を重要度や意味によって分類したり、情報同士の間に「全体と部分」や「原因と結果」などの関係を見いだしたりする「構造化」の能力だ。

 構造化の手法としてよく知られているのがロジックツリーである。ロジックツリーは、あるテーマについて構成要素や原因をツリー状に配置して表すものだ。具体的にはテーマを設定し、それについて「なぜ?」「どうやって?」「例えば?」「具体的には?」などをどんどん繰り返して記述していく。

 「なぜ」を繰り返すのは構造化の基本である。トヨタ自動車には「なぜを5回繰り返せ」という有名な仕事の鉄則がある。それぐらい「なぜ」を繰り返すことで、根本の原因が明らかになってくる。

 ロジックツリーを作る最も重要な意味は、その過程にあるといってよい。戦略コンサルタントは、あるテーマについて考える場合、ロジックツリーを一から書き直す作業を何回も繰り返すという。ツリーを完成させるまでに、1つのテーマに対して「ああでもない、こうでもない」と様々な観点から考え、それを繰り返すことによって、テーマに関する理解が深まっていくからだ。その意味で、最初から完璧なロジックツリーは作れないと考えるべきだ。

ロジックツリー作成の3つの注意点

 ここでは筆者の経験を基に、ロジックツリーを作成する際の3つの注意点を述べる。

 第1に、ロジックツリーで問題の原因を追究する際には、一般的に上から2段目まで(最上位層を0段目として数える)を「MECE」で分解すべきである。MECEとは「要素間でダブリがなく、かつモレがない」状態を指す。要素のダブリ、モレを防ぐMECEは、あらゆる構造化の手法の基本だといってよい。

原因分析のために使うロジックツリーの例
ロジックツリーの代表的な用途に「原因分析」がある。解決すべき問題の原因を列挙し、その原因を生んでいる原因を列挙するという具合にして、階層構造を作り上げる。その際には、特に最初の階層で、できる限りモレやダブリがないようにして原因を列挙する必要がある。モレやダブリがない状態を「MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)」と呼ぶ(出所:アイデアクラフトの資料を基に編集部が作成)
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 だが2段目で、ある程度の数の原因が出そろったら、あとはMECEにはこだわらずに原因の追究を進めていくべきである。なぜなら、どんどん原因を細分化していくと、MECEな状態を保つことは事実上不可能になるからだ。また、数多くの原因を書き出しても、実はそれらのいくつかの原因は1つにまとめられるというケースも少なくない。そのため徹頭徹尾MECEな状態を意識するのは、効率的とはいえない。