米シリコンバレーに拠点を設け、国内外で有望なベンチャー企業やテクノロジーを探す大林組。米国での活動は、他のゼネコンに一歩リードしていると自他ともに認める。同社はなぜ、オープンイノベーション(社外の技術やアイデアを取り入れてイノベーションを生み出す手法)に力を入れ始めたのか。研究開発を統括する梶田直揮技術本部長と、オープンイノベーションの旗振り役であるグループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長に聞いた。

左が大林組グループ経営戦略室の堀井環・経営基盤イノベーション推進部長、右が技術本部長を務める梶田直揮常務(写真:日経アーキテクチュア)
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大林組の2018年度の研究開発費(単体)は約120億円でした。

梶田 純粋な研究開発費は、おっしゃるように100億円とちょっとですが、この他に建設機械の開発などもありますから、合わせると年間で大体200億円でしょうか。これまでは、その2割ほど少ない額でした。景気が悪かった時代は現在の半分ぐらいでしたが。「中期経営計画2017」(期間は2017~21年度)の発表に伴い、増やし始めました。

堀井 「中期経営計画2017」では、研究開発や成長分野などに5年間で4000億円を投じると表明しました。内訳は、建設技術の研究開発に1000億円、工事機械・事業用施設に500億円、不動産賃貸事業に1000億円、再エネ事業などに1000億円、M&A(合併・買収)などに500億円です。

 これから大林組がどのように成長していくか考えると、「4本柱」である建築事業、土木事業、開発事業、テクノ事業(再生可能エネルギーなどの新領域)をさらに拡大させる必要があります。さらに、最新のAI(人工知能)技術や、現在開発を進めている生分解性プラスチックのように、当社にリソースがないものについては、異分野の企業などとコラボレーションをしながら、ものにしていかなければなりません。

 もう1つの課題は、グローバル化への対応。大林組のグループ会社は117社まで増え、北米やアジアを中心に世界で事業を展開しています。海外でも通用する技術が必要になってきます。

大林組はCO2から生分解性プラスチックの「ポリ乳酸」を製造する技術の実用化に向けて、CO2資源化研究所(東京都港区)と検討を始めている(資料:大林組)
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研究開発は、どのような枠組みで進めていますか。

梶田 19年度から全体を4つのテーマに分け、年間300件ほどを進めています。1つ目が「最重要テーマ」。喫緊の課題である生産性向上などに集中投資しています。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やロボティクス、インフラの補修や更新に関する技術開発などが該当します。

 2つ目は、ありとあらゆる顧客のニーズに対応する「部門別テーマ」。3つ目の「基盤テーマ」は、最新の解析技術のように、ゼネコンとしてものづくりをしていくうえで必要な技術の開発です。最後に「未来創造テーマ」。宇宙エレベーターや次世代モビリティー、水素エネルギーなど、次世代のテクノロジーに挑戦しています。

堀井 研究開発費の2~3割を「最重要テーマ」に、6割ほどを「部門別テーマ」と「基盤テーマ」に、残りを「未来創造テーマ」に、というイメージでしょうか。なかでも最重要テーマと未来創造テーマについては、オープンイノベーションを重視しています。

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