建設ロボットの開発や重機の自動化に力を入れる大成建設。中小企業などとのオープンイノベーション(社外の技術やアイデアを取り入れてイノベーションを生み出す手法)にも、2017年から本格的に取り組んできた。同社技術センター長の長島一郎執行役員に、これまでの成果と今後の課題について聞いた。

大成建設技術センター長の長島一郎執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
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2018~20年度の中期経営計画では、3年間で600億円を技術開発に投じるとしています。年間にすると200億円。注力分野を教えてください。

 人手不足問題の解消に向けて、生産性向上に注力しています。例えばロボット技術の開発を積極的に進めているところです。生産性向上については、必ずしもハードの開発だけでなく、ソフトについても工夫しています。工程管理の効率化などに、ICT(情報通信技術)、AI(人工知能)を活用しようとしています。

 本業である建設業の生産性向上に加えて、他にも注力している分野があります。当社の18~20年度の中期経営計画でも掲げている「エネルギー・環境」「都市開発・PPP(官民連携)」「リニューアル」「エンジニアリング」の4つです。特に都市開発・PPP以外の3分野は、技術開発を要する面が大きいですから。この他、従来から取り組んでいる防災技術などについても投資をしています。

大手建設会社の研究開発投資(資料:各社の発表資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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生産性向上に関しては、様々な建設ロボットを「T-iROBO」と名付けてシリーズ化していますね。

 一例が、コンクリートの床仕上げロボット。床仕上げは、腰をかがめた状態で何時間も、場合によっては夜通し作業をしなければならないこともあり、非常に大変です。当社ではこうした苦渋作業を次々に自動化しています。鉄骨の溶接、現場の掃除、鉄筋の結束など、いくつかのロボットを開発しましたが、いかに建設現場で使いやすいものにして、普及させるかが大事です。社内で活用の幅を広げ、さらにはレンタル会社を通じて、建設業界で広く使ってもらいたい。現場と情報交換をさらに密にして、ラインアップも増やしていくつもりです。

コンクリート床仕上げロボット(写真:大成建設)
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 かつて、建築の現場を「工場」のように自動化しようという動きがありましたが、多額の費用がかかってうまくいきませんでした。現場のスペースは狭いですし、多様な職種の人が入り乱れていますから、ロボットで一気につくるのは無理があります。ですから当社では、個々の苦渋作業を肩代わりしてくれる機械、人と協調して作業する機械の開発に力を入れている。シリーズ化して様々なロボットを開発してきたのは、それが理由の1つです。

建築の現場を「工場」のように自動化しようという動きがかつてあった、というお話が出てきました。1990年代、大手ゼネコンは建築工事の現場をカバーで覆い、天候の影響を受けないようにして、工場のようにシステマチックに超高層ビルをつくる工法を開発していました。大成建設は「T-UP工法」を実現場に適用していますよね。

 はい。横浜市内のビルで実績があります。当社では現在、この工法をベースに開発した「テコレップシステム」と呼ぶ超高層ビルの解体工法を展開しています。

(関連記事:屋根を蓋にして超高層解体、跡地は「大手町の森」に

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