2019年2月に開所した技術研究所「ICI総合センター ICIラボ」を拠点に、ベンチャー企業などとのオープンイノベーション(社外の技術やアイデアを取り入れてイノベーションを生み出す手法)に力を入れる前田建設工業。インタビューの後編では前編に続き、協業の成果や課題、人材育成について、同社ICI総合センター長の三島徹也執行役員に聞く。

前田建設工業ICI総合センター長の三島徹也執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
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前田建設工業には、社会問題の解決を目指すベンチャー企業などに出資する「MAEDA SII(Social Impact Investment)」と呼ぶ仕組みがありますね。

 2015年以降、約10社に出資しました。ICI総合センターが立ち上がってからは、MAEDA SIIをセンターに移管し、我々が自ら出資先を決められるようになりました。事務方が出資先の決定権を持つと「いつまでに成果が出るのか」という話になり、決定までにものすごく時間を要した挙句、気付いたらチャンスを逃していた、というのはよく聞く話ですから。

 ベンチャーからの評判は上々です。センターの開所式に合わせて実施した「ICIイノベーションアワード」と呼ぶビジネスコンテストでは、入賞者が望めば出資を検討すると表明していたのですが、結果的にほとんどの企業が出資を希望されました。

 出資してその会社をコントロールしようといった意図はありませんので、安心感があるのかもしれませんね。それに、我々は出資先と一緒になって、プレーヤーとして取り組みます。出資をして「手は動かさないけど、口は出す」とならないように気を付けています。

 そもそもベンチャー投資というのは、ものになる確率がかなり低いのが普通ですので、あまり功を焦らないように心がけています。この点については、経営陣もよく理解してくれていますよ。とはいえ、なるべく早く社会実装していかなければならない。プロジェクトの数ばかりが、どんどん増えていってしまいますから。

年間50社ほどの企業などと共同で、研究開発や事業化を進めているとのことですが、これまでにどのような成果が出てきましたか。

 今、力を入れているのは、銀メッキ繊維で織ったウエアラブルセンサーで生体データを計測し、建設現場の熱中症対策などに役立てる「hamon」と呼ぶサービスです。当社が出資するベンチャーのミツフジ(京都府精華町)が開発しました。既に商品化していますから、今はいかに普及させていくか、考えているところです。

ミツフジのシャツ型ウエアラブルセンサー(資料:前田建設工業)
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