熊谷組は、SOINN(東京都町田市)と共同で、土砂の運搬などに用いられる不整地運搬車(クローラーキャリア)の自動走行技術を開発した。そして、熊谷組は2018年9月、国土交通省が発注した阿蘇大橋地区斜面防災対策工事の土砂搬出作業でこのシステムを導入し、実用性を確かめた。

自動走行に対応したクローラーキャリア。遠隔操作に対応できるベースマシンにGNSSやIMU、PCなどを搭載している(写真:熊谷組)
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 検証を行った工事現場には、自律的に自動走行できるクローラーキャリア2台と遠隔操作する油圧ショベル1台を投入した。油圧ショベルで掘削した土砂をクローラーキャリアに積み込み、片道約300mを自動走行させて搬出。さらに、荷降ろし地点ではクローラーキャリアを遠隔操作に切り替えて荷降ろしするという一連の作業を行った。

 操作室のオペレーターは1人だ。クローラーキャリアの運行管理をAIに任せた結果、オペレーターは油圧ショベルの遠隔操作とクローラーキャリアの荷降ろし作業に集中することができたという。

阿蘇大橋地区斜面防災対策工事における自動走行システムの運用状況。オペレーターは極力、油圧ショベルの遠隔操作に専念する。積み込みが終わった際にだけ、クローラーキャリアに出発を指示。その後、油圧ショベルの遠隔操作に戻る。2台のクローラーキャリアは、接近し過ぎないよう距離を保ちながら自動走行した(動画:熊谷組)

 このシステムは、オペレーターなしで自律的に自動走行する技術と、複数台編成で稼働した際の車両の運行管理を人工知能(AI)に任せる技術で構成する。運搬作業を自動化し、作業に関わるオペレーターの負担軽減や省人化による生産性の向上、作業の安全性向上を狙う。

 土砂の運搬作業は単調な作業なので、作業者の負担が大きい。集中力が低下すれば、事故の発生リスクも高まる。こうした状況は災害復旧工事などで行われる遠隔操作による土砂運搬作業でも同じだ。熊谷組はここに着目した。

 「熟練オペレーターが持つ遠隔操作のスキルは、油圧ショベルによる積み込み作業など、高い技能や工夫が必要な作業でこそ生かされるべきだ。優秀なオペレーターのスキルを生かすために、まずは運搬作業の自動化を果たしたかった」。熊谷組土木事業本部ICT推進室の北原成郎室長は、開発の背景をこのように説明する。

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