ゲームはゲームメーカーとゲームファンのもの──。eスポーツの発展で、そんな発想は過去のものになった。目立つのは、金融、電機、飲料など幅広い業種の企業がeスポーツに参入していること。若者に向けた新たなプロモーションツールとしても期待が高まっている。eスポーツはどこまで拡大するのか。

国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」では様々なゲームの大会やプロリーグを開催。サイバーエージェントの全額出資子会社であるCyberZが運営し、ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」などで配信している(写真提供/CyberZ)

 ビデオゲームで対戦する競技「eスポーツ」は、ゲーム機などのハードウエア、家庭用ソフト、モバイルゲームなどのソフトウエアに次ぐ、ゲーム分野の新市場だ。「元年」と呼ばれた2018年は大規模なイベントも増え、市場規模が急速に拡大した。ゲーム関連書籍の出版やマーケティング、調査などを手掛けるGzブレイン(東京・中央)によると、18年の日本のeスポーツ市場は前年比13倍の48.3億円。伸びは今後も続き、22年には99.4億円に達すると予想している。

 この数字は世界的に見るとまだ小さい。オランダに本社を置く調査会社Newzooによると、世界のeスポーツ市場は19年が前年比26.7%増の1210億円、22年は2000億円の見込み。だが、欧米やアジアの国に比べて遅れていた日本でも急激に市場が立ち上がったことで、成長の期待が高まっている。

日本のeスポーツの市場規模予測(出所:Gzブレイン)

 成長をけん引するのがスポンサー収益だ。18年の項目別割合を見ると、実に4分の3を占める。というのも、eスポーツの台頭で、ゲームを取り巻く市場の構造が一変したからだ。「eスポーツ」と言われるように、一般的なスポーツ同様、プレーする人だけでなく、それを観戦する観客も楽しめるエンターテインメントへと昇華した。

2018年の日本のeスポーツ市場の項目別割合。スポンサー収益が大きい(出所:Gzブレイン)

 観客は大会を開催している会場、またはネット配信を通じてeスポーツを観戦する。その規模も徐々に大きくなっている。国内最大級のeスポーツリーグ「RAGE」を例に取ると、2018年6月に幕張メッセで開催した「RAGE 2018 Summer」で、来場者数が過去最高の3.5万人に到達。ネット配信の総視聴数は同年3月の「RAGE 2018 Spring」でやはり過去最高の706万視聴を記録している(ゲーム専門のライブ配信サービス「OPENREC.tv」とインターネットテレビ局「AbemaTV」を合算)。

 右肩上がりのeスポーツの現状を受けて、協賛企業の業種も多様化してきた。例えば、日本野球機構とコナミデジタルエンタテインメントが共催した「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2018」(18年7月~19年1月)には、ソフトバンク、日本コカ・コーラ、三井住友銀行、ローソングループが協賛。日本一を決定する最終戦「e日本シリーズ 2018-19」の冠スポンサーは三井住友銀行(SMBC)が務めた。1年に1度行われる格闘ゲームの祭典「EVO Japan 2019」(19年2月開催)の協賛企業にはNTTドコモ、インディードジャパン、日清食品、日産自動車、久光製薬など、業種もバラバラの大手企業が名を連ねる。

 eスポーツイベントの企画・運営やコンサルティングなどを手掛けるウェルプレイド(東京・渋谷)の谷田優也社長によると「少し前まで、eスポーツの協賛企業というとゲーム周辺機器メーカーが中心だったが、近年は一般企業が増えているのが特徴」とのこと。特に、以前からリアルスポーツのスポンサーを務めてきた企業が、協賛対象にeスポーツを加えたりシフトしたりするケースが多いという。例えば、三井住友銀行はプロ野球の日本シリーズの冠スポンサーでもある。また、KDDI(au)は、サッカー日本代表やスポーツクライミングチーム「TEAM au」をスポンサードする一方で、日本eスポーツ連合(JeSU)とプロeスポーツチーム「DetonatioN Gaming」ともスポンサー契約を結んでいる。

三井住友銀行は「e日本シリーズ 2018-19」の冠スポンサーを務めた。表彰式には同社のキャラクターが登場。大会会場や動画配信でロゴを掲出するなどして観客に存在をアピールした(写真提供/コナミデジタルエンタテインメント)

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