みずほ銀行は新勘定系システムである「MINORI」にSOA(サービス指向アーキテクチャー)を採用した。アプリケーションをコンポーネント化(部品化)することでシステム変更の柔軟性を保ち、保守性を高める狙いだ。同行は今後のアプリケーション開発にかかる期間を約3割短くできると見込む。

 MINORIの主役は「業務アプリケーション」「CIF(カスタマー・インフォメーション・ファイル)」「取引メイン」の3つだ。業務アプリケーションは銀行の商品や業務単位で構築した。「流動性預金」「定期性預金」「内国為替取引」「外国為替取引」「与信取引」などだ。各アプリケーションは「商品サービス」という独立したコンポーネントで構成する。最大規模の流動性預金は300の商品サービスからなる。MINORI全体で見ると商品サービスは約3000種類存在する。

 業務アプリケーションにはそれぞれ残高など顧客データを記録する「元帳」がある。業務アプリケーションごとに分散記録された顧客データを統合する役割を果たすのがCIFだ。ファイルという名前がついているが、その実態はデータベース(DB)である。

 取引メインはどの商品サービスをどういった順番で呼び出して連携させるか、ワークフローを制御する司令塔だ。業務アプリケーションをまたいだトランザクションの管理も担っている。

 業務アプリケーションやCIF、取引メインが勘定系の中心で、その周りに銀行ならではのサブシステムがある。営業店端末やATM、全銀システムなどと接続する各種の「チャネル系」や、業務アプリケーションやチャネル系にとってのゲートウエイの役割を果たす「メインハブ」、勘定系で処理した振込処理などの結果を伝票として営業店に戻す「還元計表」、営業店ごとに1日の取引計数などを集計した「日計」などのシステムだ。勘定系のデータを情報系から利用できるようにする「データマート(DM)」もある。いわゆるデータウエアハウス(DWH)のことだ。

 MINORIは各コンポーネントを連動させながら動作する。各コンポーネントの独立性は高く、疎結合の構成を採用している特徴もある。

図 新システム「MINORI」の全体像
コンポーネント化で保守性高める(注:みずほフィナンシャルグループの資料を基に日経コンピュータ作成)
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疎結合化で耐障害性も高める

 SOAのメリットとしてイメージしやすいのが、プログラム変更に伴う影響を確認する回帰テスト(リグレッションテスト)である。金融業界は特に厳格な回帰テストを求められる。勘定系システムを疎結合にすることによって回帰テストのパターンを減らし、開発工数を削減できるようになる。

 SOAを採用することで耐障害性も高まる。障害発生時にトラブル箇所の特定が容易になり、障害対応がしやすくなるためだ。

 2011年3月に大規模システム障害が発生した際には、当時の勘定系システムであった「STEPS」が老朽化し、内部構造が把握しづらい「ブラックボックス」の状態になっていた。トラブルが発生していた箇所を特定するのに手間取るうちに、障害が雪だるま式に膨らんでいった。MINORIならこうした問題が起きにくくなる。

 勘定系システムにおいて一定のコンポーネント化を進めてきた銀行は他にもある。しかし、勘定系システムに詳しい業界関係者は、「サービス単位で細かく分けている例はあまりない。しかも、コンポーネントの内部は密結合になっていることが多かった」と語る。

 みずほフィナンシャルグループ(FG)の米井公治常務執行役員は、「これだけ大規模な勘定系システムをSOAで開発した例はないのではないか」と話す。

 特殊なオンラインプログラムでない限り、システムを稼働させたままプログラムを入れ替えることも可能にした。プログラムの更新を始める前に、オンライン処理をいわば縮退運転に切り替える。部分的に機能や性能を落としている間にプログラムを更新する。

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