最高熱効率の向上を目指す日系大手3社。これまでの技術と今後注目される技術を基に、主要なキーワードとして次の6つを絞り込んだ。「熱効率50%」「希薄燃焼」「プレチャンバー」「水噴射」「可変圧縮比」「燃料」。全方位で挑むトヨタ自動車、可変圧縮比(VCR)エンジンの技術を生かす日産自動車、プレチャンバー(副燃焼室)を中核に据えるホンダのように、開発方針の違いが見えてきた。

キーワード 1:熱効率50%

▶トヨタ :実験室で47~48%
▶日産 :実験室で50%を達成
▶ホンダ :当面の目標は45%程度

 ガソリンエンジンの最高熱効率の目標は、日産自動車とトヨタ自動車が50%を掲げる一方、ホンダは45%程度とした。

 開発中の値で、最高熱効率が一歩抜きん出ているのが日産だ。単気筒試験機で機械損失を考慮した図示熱効率で、最高値が50%を達成した。多気筒試験機でも45%を超えた。

 日産が注力するシリーズハイブリッド車(HEV)の「e-POWER」向けガソリン機は、発電専用として使う。トルクを車輪に伝えないことから、加速や減速時でもガソリン機の動作域の変動が少ない。そのため、最高熱効率に達するトルクと回転速度に絞って運転でき、熱効率を高めやすい。

 日産自動車常務執行役員の平井俊弘氏は「e-POWERの競争力を高めるために50%を目指している。規制に対応するためだけの目標ではない」と述べる。

 トヨタ自動車は、実験で最高熱効率が47~48%に達した。同社は空燃比(A/F)が30を超える希薄な混合気を燃焼する超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)や気筒の遮熱、排熱回収、燃料改質など、様々な技術を視野に入れて50%を目指す。

 トヨタ自動車パワートレーンカンパニーPresidentの岸宏尚氏は、最高熱効率が50%に達するガソリン機の開発は技術的には可能と見ており、後は市場に投入する際の価格次第とする。

 他方、ホンダは、試作機で最高熱効率が47.2%に達しているものの、当面の目標は45%程度と設定した。最高熱効率50%という象徴的な目標を達成するよりも、燃費と出力の両立を優先した形だ。「限られたエンジン条件で高い熱効率に達するのではなく、(高出力を両立しながら)幅広い条件で高効率にする」(本田技術研究所常務執行役員の松尾歩氏)という戦略を取る。

 同社の場合、中核を担うハイブリッドシステム「i-MMD」はシリーズパラレル方式だ。使用するガソリン機は、発電用に使うだけでなく高速時にトルクを車輪に伝える。そのため、動作域はある程度広く取っている。

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