今回は、近未来の都市の姿やスマートシティーを考えるうえでは欠かせないテクノロジーを先取りした、パブリックアートプロジェクトを紹介する。アートが好きな人に限らず、街づくりや都市開発に携わる設計者や建設会社などの関係者にはぜひ知っておいてほしい注目のイベントである。

 東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が主催し、エンジニア集団のRhizomatiks(ライゾマティクス、東京・渋谷)が企画制作と演出を手掛ける「Light and Sound Installation "Coded Field"(コーデッド フィールド)」が、2019年11月16日に一夜限りで開催される。

 会場は東京・港にある「浄土宗大本山増上寺」、および、隣接する港区立芝公園と東京都立芝公園である。東京タワーのすぐ近くにある広い敷地で、江戸時代には徳川将軍家とゆかりが深かった東京を代表する場所の1つだ。

ライゾマティクスがCoded Fieldについて、都内でプレゼンテーションした時の様子。右上の画像は増上寺の境内(写真:日経アーキテクチュア)
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増上寺の大殿。すぐ後ろに東京タワーが見え、夜間は照明で輝く(写真:日経アーキテクチュア)
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 このプロジェクトは、何が画期的なのか。それは、増上寺の境内とその周辺に点在する大小様々な建物や建造物、樹木、さらには参加する1000組(1組は最大3人、合計3000人)が持つデバイスの位置を高精度で特定することである。そして光と音を完全に同期させた屋外での空間演出を実施する。

光と音を同期させた屋外空間の演出イメージ。光る球が宙に1000個浮かぶ(資料:ライゾマティクス)
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 参加者には当日、合計1000個のバルーン型デバイスを配布する。この端末は、手で持つ柄の部分と、配線でつながって宙に浮かぶ風船から成る。

ライゾマティクスが自作するバルーン型デバイス(資料:ライゾマティクス)
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 デバイスの特徴はスティック状の柄の中に、極めて精度が高く位置情報を計測できる基板と、無線のアンテナ、そして3時間ほどのイベント中に必要な電池が入っていること。柄の底にはスピーカーまで付いていて、音が鳴る。また、バルーンの中にはLED照明が仕込まれていて光る。暗い所では、光の球だけが浮遊しながらきらめいているように見える。

 このイベントは、1000個のデバイスに取り付けられたバルーンの色の変化と、スピーカーから流れる多彩な音や曲が織りなすハーモニーを通して、「ミライの東京」を疑似体験するものだ。増上寺周辺という歴史的なエリアを舞台にして、将来の東京の姿を描き出す。

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