日立も参入「がんゲノム医療」に脚光、がんの遺伝子変異に応じて治療

2019/08/27 05:00
高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 がんの診断では、がんを早期に発見する検査の実用化が近付いている(関連記事)。一方、既に体内で大きくなったがんの治療時でも、検査の重要度が増している(図1)。2019年6月、がんの特徴に合わせた治療を行うため、がんのタイプを調べる「がん遺伝子パネル検査」が保険適用された。対象は一部の患者に限られるものの、一般的な検査として利用されることになった。

図1:診断と治療の場面で利用するがん検査の実用化が進む
(図:日経 xTECH)
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 がんが見つかっても、諦める必要はない。検査でがんのタイプ(遺伝子変異)を明らかにし、患者は効果の高い治療を受ける――。こうした状況を目指し、政府や病院、そして企業が、がんの遺伝子変異を判別する検査を受けて治療する「がんゲノム医療」の整備を日本で進めている。

 これまでは、同じ臓器にできたがんを持つ患者は、同じ方法で治療されることが当たり前だった。だが、同じ臓器にできたがんでも、患者ごとに遺伝子変異のパターンが違い、パターンが違えば、効く薬が異なることが分かってきた。米国では、がんのパターンに応じた薬を選ぶため、検査でがんの遺伝子変異を明らかにしてから治療を始めるのが常識になりつつある。

がんの遺伝子変異を解析する「がん遺伝子パネル検査」

 がんゲノム医療の鍵となるのが、1度に複数の遺伝子変異を調べ、がんのパターンを判別する「がん遺伝子パネル検査」だ。日本では数年前から、大学病院などによる自由診療(治療全体にかかる費用を患者が全額負担)や先進医療(治療全体のうち新規の技術に関する費用は患者が全額負担し、残りの一般的な治療は保険適用)の枠組みで、がん遺伝子パネル検査が提供されてきた。がん遺伝子パネル検査は、海外企業や日本の大学、研究機関が開発したものが中心だ。

 そんな中2018年12月に、中外製薬とシスメックスが、がん遺伝子パネル検査の承認を取得し、2019年6月にそれらが保険適用された。現在日本では、自由診療や先進医療の他に、条件に合う一部のがん患者が、国の定める病院において保険診療下でがん遺伝子パネル検査を受けられる状況だ。

 これまでも、がんに特徴的な遺伝子変異があるかを調べ、それに応じた抗がん剤を決める検査はあったが、数種類の限られた遺伝子変異を調べるものだった。その常識をがん遺伝子パネル検査ががらっと変えた。大量の遺伝子変異を解析できる次世代シーケンサー(NGS)を使い、1度に数十から300以上の遺伝子変異を解析する。NGSの登場と解析コストの低減が、がん遺伝子パネル検査の実用化を加速させた。さらに、基礎研究によってがんに関わる遺伝子変異が続々と明らかになり、その情報が公共データベースに蓄積されたことも実用化を後押ししている。

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