中国の電気自動車(EV)スタートアップを現地取材した特集「ポストTeslaが示す、新しいEVの売り方」の第5回は、高級路線で勝負する中国・上海蔚来汽車(NIO)だ。

 “ポストTesla”の最右翼と目されてきたEVスタートアップが岐路に立たされている。米テスラ(Tesla)の背中を追って高級車メーカーを目指すNIOである。中国のIT大手である騰訊(Tencent、テンセント)が出資し、2018年9月には米ニューヨーク証券取引所に上場した。SUV(多目的スポーツ車)タイプのEV「ES8」「ES6」を発売済みである(図1)。

図1 NIOのEV「ES6」
2019年4月に開催された「上海モーターショー2019」の様子。リコール発表前で、来場者の関心は高かった。(撮影:日経Automotive)
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 旗艦EVのES8は、最新技術を積極的に搭載したことで注目を集めた(図2)。イスラエル・モービルアイ(Mobileye)の最新画像処理チップ「EyeQ4」を世界初採用。Mobileyeは従来品の「EyeQ3」までは欧州メーカーに「世界初採用」を与えてきたが、その序列を崩した格好だ。ES8にはこの他、車内向けの技術として人工知能(AI)を使った音声アシスタント機能を搭載している。

図2 NIOの旗艦EV「ES8」
中国・上海市内を走っていたES8を2019年4月に撮影した。(撮影:日経Automotive)
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 順風満帆に成長してきたかに見えたが、2019年に入って逆風にさらされている。販売台数の減少に電池のリコールと、ダブルパンチがNIOを襲う。

 ES8の販売台数は、2018年第4四半期(10~12月)に7980台だった。2019年第1四半期(1~3月)は3989台で、同年第2四半期(4~6月)は3000台程度とさらに減少した。

 販売台数の減少が続く2019年6月末には、車載電池の不具合に対するリコールを発表した(図3、4)。対象は、4803台のES8である。駐車中の車両から発火する事故が相次いでいた。

図3 NIOのEVプラットフォーム
床下にリチウムイオン電池を敷き詰める。(撮影:日経Automotive)
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図4 NIOのEVが搭載する電池パック
NIOの最新の電池パック。リコールの対象となったのは2018年4月2日から10月19日までに生産されたES8で、先世代の電池パックを搭載していた。(撮影:日経Automotive)
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 自動車メーカーとしての経験不足が露呈したNIOの現状は、EVを拡販して会社規模を大きくしようとしていたタイミングのTeslaと重なる。Teslaは2018年3月、主力セダン「モデルS」の12万台を超えるリコールの実施を発表した。電動パワーステアリングのパワーアシスト用のモーターの不具合に関するものだ。EVスタートアップが避けては通れない、成長期の品質問題にNIOが直面している。

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