中国で電気自動車(EV)のスタートアップが続々と登場している。50社とも60社とも言われる新興勢が注力するのは車両開発ではない。サービスや自動運転などクルマとしての魅力を高める取り組みで、立ち位置を確保する。有望株を現地取材した特集「ポストTeslaが示す、新しいEVの売り方」の第3回は、48インチという超大型の液晶ディスプレーを搭載するEVを2019年内に量産する中国・バイトン(BYTON)である。

 クルマを再考する時が来た——。クルマの価値が「走る・曲がる・止まる」の走行性能から車内空間での快適性に移り始める時流をとらえ、2016年に誕生したのがBYTONだ。ドイツBMWの元幹部が中心になって立ち上げた。

 同社は2019年内に、最初の量産EV「M-Byte」の量産を始める(図1)。既に生産の準備を整えた。中国・江蘇州南京に新設した工場の年産能力は30万台(図2)。同年第3四半期の試験生産を経て、まずは中国での販売を開始する。車両価格は30万元(1元=15円換算で450万円)から。

図1 2019年内に生産を開始するEV「M-Byte」
BYTONにとって最初の量産車となる。SUV(多目的スポーツ車)タイプで、価格は30万元(450万円)から。(出所:BYTON)
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図2 生産能力は年間30万台
BYTONが中国・江蘇州南京に新設した工場。(出所:BYTON)
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 EVスタートアップがつまずくのが量産開始時の品質確保だ。BYTONは、大手自動車メーカーの力を借りることで解決する戦略を採る。中国大手の第一汽車(FAW)の出資を受け入れ、同社の量産ノウハウを活用する。車両開発でも他社の力を使う。EVの心臓部である電池は中国・寧徳時代新能源科技(CATL)製で、電池セルだけでなく「パックやEVプラットフォームの開発までCATLを頼った」(BYTONの幹部)という(図3)。

図3 M-ByteのEVプラットフォーム
床下にCATL製のリチウムイオン電池を敷き詰める。(出所:BYTON)
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 品質確保や「走る・曲がる・止まる」の走行性能に関する開発では外部のリソースを最大限に使うBYTON。自社内での開発では、独自性を打ち出せる車内空間での快適性を高める機能やシステムに注力する。具体的には、大型ディスプレーと車内カメラを活用することで他社との差異化を図る(図4)。

図4 インパネ全面を液晶ディスプレーに
ステアリングホイールやセンターコンソールにも液晶ディスプレーを配置した。(出所:BYTON)
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 先述の通り、M-Byteは48インチの超大型ディスプレーをインストルメントパネル上の全面に配置する。大型ディスプレーを搭載する車両としては、例えば米テスラ(Tesla)のセダン「モデルS」やSUV(多目的スポーツ車)「モデルX」などがある。いずれもインパネの中央部に17インチの縦型ディスプレーで、M-Byteの48インチ品は異例の大きさといえる。

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