中国で電気自動車(EV)のスタートアップが続々と登場している。50社とも60社とも言われる新興勢が注力するのは車両開発ではない。サービスや自動運転などクルマとしての魅力を高める取り組みで、立ち位置を確保する。有望株を現地取材した特集「ポストTeslaが示す、新しいEVの売り方」の第2回は、トヨタ自動車と提携した中国・奇点汽車の後編。CEO(最高経営責任者)の沈海寅氏に、トヨタとの関係やEV開発の方向性などを聞いた。

トヨタが中国のEVスタートアップと提携するのは奇点汽車が初めてだ。提携に向けた議論を始めたのはいつか。

 2017年末頃に開始した。きっかけはトヨタから「社内の空気が変わり始めている」という話を聞いたことだ。過去にも話をする機会はあったが、トヨタ社内の変化を機に、本格的な議論を始めた。

 印象的だったのが、トヨタ社長の豊田章男氏が率先して「このプロジェクトを推進しよう」と言ったことだ。私自身、トヨタが変わろうとしていることを強く感じた。昔なら提携に合意するまで3年以上かかっていただろう。それを、1年半で発表までこぎつけられたのは大きな変化だ。

奇点汽車Co-Founder CEOの沈海寅(Tiger Shen)氏
2000年に来日し、検索サービスのJwordやソフトウエア企業のキングソフトなど複数のITベンチャーを創業した。その後、中国に戻り、2014年に奇点汽車を設立した。(撮影:日経Automotive)
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今回の提携では、トヨタは奇点汽車に電動化技術を提供する。見返りとしてトヨタは、「NEV(New Energy Vehicle)規制」規制をクリアするために必要なクレジット(生産枠)を優先的に購入できる契約を結んだ。

 当社はトヨタから、小型EV「eQ」の設計利用ライセンスを取得する。契約の関係で金額は言えないが、トヨタにライセンス使用料を支払う。

 NEVクレジットに関しては、当社がEVを販売して取得したうち、最大で数十%をトヨタに提供する。ただし、まだNEVクレジットは販売されていないので、金額の規模感は何とも言えない。

 トヨタが中国で合弁を組む広州汽車や第一汽車と組んで確保できるNEVクレジットの量が足りなければ、当社のNEVクレジットを頼りにすることになる。現状では、トヨタが奇点汽車からNEVクレジットを優先的に調達できる権利を有しているということだ。

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