中国政府は2017年に「AI開発指針」を発表し、5G(第5世代移動通信システム)/IoT(Internet of Things)/AI(人工知能)を統合したAI産業を政策の中核と位置付ける。指針の狙いは、オープンイノベーション・プラットフォームの構築を通じて、先進国企業を巻き込んだエコシステムをつくり上げることである。先進国企業にとっては大きなビジネス機会を期待できる一方で、今後の米国の通商政策の不確実性が地政学的なリスクとして存在する。

 中国の国務院は「中国製造2025」に関連して、2017年に国家成長戦略の中核の1つとして「AI開発指針」を発表した。その狙いは、2030年までに中国をグローバルなイノベーション開発の中核地に引き上げることとしている。数値目標として2030年時点で、AI(人工知能)ビジネスが約15兆円、周辺ビジネスを含めて約150兆円の経済価値の創出を掲げる。

 AI産業を構成する業界には、半導体、スマート家電・監視カメラ・次世代スマートフォン(スマホ)などの電子系品目、インターネットサービスのプラットフォーム、自動運転やスマートシティー、遠隔医療などのサービス系品目が含まれる。中国政府の予測では、5G(第5世代移動通信システム)/IoT(Internet of Things)/AI産業全体の市場規模を2020~30年累計で約280兆円としている。

米国勢への早期追随を狙う

 中国政府は、AI産業の創出のためには技術開発にとどまらず、新しい製品・サービスの創出と、エコシステムやビジネスモデルの構築が不可欠としている。そのために国家オープンイノベーション・プラットフォームを構築し、先進国企業に対する早期追随を狙っている。ロードマップは以下の通りである()。

図 中国政府の「AI開発指針」のロードマップ
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・2020年の目標
 国家オープンイノベーション・プラットフォームと重点分野における中国版標準の構築が目標である。AI開発指針の中で、中国政府はプラットフォーム構築を担う「政府協力企業」を指名する。重点用途として自動運転、スマートシティー、セキュリティー、ヘルスケアを挙げている。

・2025年の目標
 重点用途における世界最先端レベルと同等の技術の確立を目標とする。さらに、中国政府は2025年までに、AI関連の法制度・規制・規範・政策、AIセキュリティーの評価体制と管理能力の整備を目指す。

 中国本土での展開に限定せず、「一帯一路」政策のサイバースペース版である「デジタル・シルクロード構想」に従い、新興国市場への展開を目標にしている。こうしたグローバル展開は、政府協力企業が担うことを想定する。

・2030年の目標
 技術レベルの目標は、AIの理論・技術などにおいて世界最先端に到達することである。世界で最先端のAIイノベーションハブへと引き上げ、中国主導のサプライチェーンを構築する。

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