一般的なリチウムイオン電池(LIB)を使う場合と比べて、半分の搭載容量で48V電源システムを使うマイルドハイブリッド車(MHEV)を実現できる。そうした電池パックの試作品を開発し、2020~2021年の製品化を見込んでいるのが東芝だ。先進車載電池の国際会議「19th Annual Advanced Automotive Battery Conference(AABC)2019」(2019年6月24~27日に米サンディエゴで開催)に登壇した同社電池事業部電池提携・戦略部商品企画担当主務の山本大氏が明らかにした。

SOCの幅広さと容量維持率の高さを生かす

 そうした同社が念頭に置いているのは、本連載の第1回で紹介したように、負極にチタン酸リチウム(LTO)という酸化物を使う同社のLIB「SCiB」である。同氏によれば、SCiBではSOC(State of Charge)で0%から100%まで使っても負極でリチウム(Li)のデンドライト(針状結晶)が生成されない。しかも、サイクル特性に優れており、充放電の繰り返しによる容量の低下が少ない。これらの理由により、搭載容量を半減できると同社は推定している。

 これに対して負極にグラファイトを使った一般的なLIBでは、「充放電の繰り返しによる容量低下を見込むと、搭載容量の20%は使えず、使用可能なSOCの範囲を考慮するとさらに使用可能な容量は半分となり、元々の搭載容量の40%しか使えない計算になる」(同氏)という(図1)。一方、SCiBの場合は、元々の搭載容量の80%が使え、搭載容量を半減しても同等になるとする。

図1 搭載容量が半減する理由
繰り返しの充放電による容量低下の少なさと安全に使えるSOCの広さが、負極にグラファイトを使う一般的なLIBに対して低容量化を可能にする。東芝電池事業部電池提携・戦略部商品企画担当主務の山本大氏の講演を基に日経 xTECHが作成した。
[画像のクリックで拡大表示]

 同社が試作した48VのMHEV用電池パックに適用したSCiBセルは、正極にニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)を使ったもの。公称容量が5Ah、公称電圧が2.3V、体積エネルギー密度が170Wh/L、体積出力密度が7800W/L、体積入力密度が7200W/L、外形寸法が幅63×高さ96×奥行き13.1mm、質量が165gのものである。これらを20直列1並列で接続して電池パックを構成した。電池パックの容量は250Wh、同出力密度は放電時(10秒、25度、36V)が3.8kW/L、充電時(10秒、25度、52V)が5.1kW/Lという。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら