積算ミスによる契約解除や減額要求、関係機関との調整不足による工事の一時中止――。自治体をはじめとする公共事業の発注者の不手際によって、理不尽な要求を突き付けられ、尻拭いをさせられる建設会社や建設コンサルタント会社は多い。

 こうした中、人工知能(AI)やロボットの活用、スタートアップとの協業などに取り組む発注者が増えてきた。仕事を効率化することで、発注者が本来、力を入れるべき技術の研さんや設計変更の検討などに時間を割ける。受注者からの評価も高まるはずだ。

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 建設業の働き方改革に向けて工事書類の電子化は欠かせない。近年は、国や一部の自治体が発注する工事でインターネットを介した情報共有システム(ASP)を用いた受発注者間の書類のやり取りが一般的になった。ただし、発注者が紙と電子データで同じ書類の提出を二重に求める場合があるなど、必ずしも電子データを活用しきれていないのが現状だ。

■事業の各段階で書類を共有する
保存した書類は竣工検査などでも利用する。阪神高速道路会社の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 そこで阪神高速道路会社は、クラウドサーバーを使って受発注者がインターネット上で工事打ち合わせ簿などの書類を共有できるシステム「Hi-TeLus(ハイテラス)」を独自に開発。2019年7月から同社が発注する全ての業務と工事で本格運用を始めた。会議や立ち会い検査をオンラインで実施できる機能も盛り込み、書面主義がまん延して出遅れていたペーパーレス化で巻き返しを図る。

 設計や工事ごとに外部のシステム会社などと契約する一般的な受発注者間のASPと比べて、ハイテラスは阪神高速が自ら運営して調査から設計、工事、維持管理までの各段階で書類を一気通貫で活用するのが特徴だ。書類をクラウドサーバー上に保管し続けるので、過去のデータを容易に見つけられる。

 システムの開発を担当した阪神高速技術部技術管理課の平野敏彦課長代理は次のように話す。「例えば、舗装の点検で変状を見つけた際に、直近の工事で使った材料や品質をすぐに確認できる。原因究明や対策の検討に役立つ」。従来の情報共有システムの場合、工事書類は設計や工事が終わるとDVDなどで納品され、その後に利用される機会は限られていた。

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