積算ミスによる契約解除や減額要求、関係機関との調整不足による工事の一時中止――。自治体をはじめとする公共事業の発注者の不手際によって、理不尽な要求を突き付けられ、尻拭いをさせられる建設会社や建設コンサルタント会社は多い。

 こうした中、人工知能(AI)やロボットの活用、スタートアップとの協業などに取り組む発注者が増えてきた。仕事を効率化することで、発注者が本来、力を入れるべき技術の研さんや設計変更の検討などに時間を割ける。受注者からの評価も高まるはずだ。

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 誰も触れていないパソコンの画面がひとりでに動き出し、建設会社の技術者の情報などを調べるコリンズ(CORINS、工事実績情報システム)のウェブサイトを開いた。続けて、エクセルに記された技術者のIDをコリンズのサイトに「コピペ」して検索する――。横浜市で工事契約のたびに必要な一連の事務作業をこなしているのは“ロボット”だ。

■ 職員の作業を1年間当たり110時間以上減らした
グラフ中の数字は年間の作業時間。横浜市とNTTなどとの包括契約は2018年度末で終了したので、現時点で市はRPAを利用していない(資料:横浜市、NTT、NTTデータ、クニエ)
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 横浜市は2018年度に、NTTなどと結んだ包括連携協定の一環として、工事の契約手続きにロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を試験導入した。RPAとは、オフィス業務のうち主に定型作業を自動化するプログラム。画面のスクロールなど動作の一つひとつを指示しておけば、単調な繰り返し作業をパソコンに一任できる。事務の省力化につながるとして近年、活用領域が広がっている。

 市がRPAを採用したのは、工事の落札候補者の会社所在地や格付けといった入札参加要件を確認する業務の一部だ。日本建設情報総合センターが運用するコリンズに登録されたデータを基に、配置予定技術者が他の工事の専任技術者に登録されていないことなどをチェックする。

 自動化した作業の流れは次の通り。まずは、参加要件が記された入札公告を印刷する。職員が後で紙に記録を残すためだ。次に、職員が事前にまとめたエクセルデータを使って配置予定技術者をコリンズで検索し、登録されている情報をパソコンに保存。一連の作業を十数件続けて黙々と繰り返す。最後に、RPAで集めたデータを基に職員が入札公告とコリンズの情報とを突き合わせて確認する。

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