積算ミスによる契約解除や減額要求、関係機関との調整不足による工事の一時中止――。自治体をはじめとする公共事業の発注者の不手際によって、理不尽な要求を突き付けられ、尻拭いをさせられる建設会社や建設コンサルタント会社は多い。

 こうした中、人工知能(AI)やロボットの活用、スタートアップとの協業などに取り組む発注者が増えてきた。仕事を効率化することで、発注者が本来、力を入れるべき技術の研さんや設計変更の検討などに時間を割ける。受注者からの評価も高まるはずだ。

(関連記事:理不尽な発注者に物申す!

 「積算に誤りの可能性あり。入力内容を確認してください。過去事例との乖離(かいり)度は40です」。短いビープ音とともに、積算ミスの可能性がある工事名の一覧がずらりとパソコンの画面に表示される。過去の同規模の工事の積算データに比べて金額が異常に高いといった不審な点を、人工知能(AI)が見つけ出したのだ。発注者なら誰もが夢見た積算の自動チェックシステムの開発が着々と進んでいる。

■ AIが過去の積算データとの乖離度をチェックする
AIは積算ソフトウエアの「ESTIMA」に標準搭載。ただし、AIの教育やチューニングには別途費用が必要。富士通の資料を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 富士通は2018年10月、同社が開発したAIの「Zinrai」を使って積算の誤りを検知するシステムを開発し、積算ソフトウエア「ESTIMA」に搭載した。自治体として初の実証実験に踏み切ったのが長野県だ。AIやロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)といった新技術で業務を効率化する「スマート県庁プロジェクト」の一環として、富士通の提案を受けて採用した。

 実証実験では、県が18年度に作成した積算データに適用。2105件の道路改良工事の中から、ミスを含む可能性がある87件を冒頭のように検知した。担当者が確認すると、そのうち24件で実際に誤りが見つかった。

 もっとも、AIがミスと認識したのは、いずれも県が事業費などを概算するために作った積算データで、金額の一部などを意図的に省いて検証のために紛れ込ませたものだ。実際の入札には使っていない。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら