自動車産業は「100年に一度」とも言われる大変革の最中にある。独ダイムラー(Daimler)が提唱した「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」に代表されるキーワードが生まれ、新たな技術やサービスの模索が活発化している。“移動(モビリティー)”をサービスと捉える新しいビジネスモデル「MaaS(マース、Mobility as a Service)」もその最たる例だ。実際、自動車産業以外のプレーヤーを含め、様々な企業がMaaS事業に参入するという報道が後を絶たない。

 もっとも、自動運転や電気自動車(EV)は自動車産業が抱える課題を解決するツールに過ぎない。CO2削減や環境問題を解決する1つのツールがEVであり、交通事故を減少させるために自動運転車の開発が続けられている。

 MaaSも同様に、交通課題を解くツールだ。この点を誤解し、MaaS事業を行うこと自体をビジネスの目的にしてしまうと、本質を見失う恐れがある。連載「MaaSの本質」の最終回では、社会でMaaSが求められるようになった背景や自動車産業にもたらす変化に着目し、今後日本の自動車産業がどのように対応していくべきかを考察する。

自動車産業も“モノ”から“コト”へ

 MaaS普及を後押ししているのは、“モノ”から“コト”への消費トレンドの変化だ。

 最近、インターネットを介したビジネスではサブスプリクション型(定額制)が流行だ。例えば、Netflix(ネットフリックス)などの動画配信サービス、Wi-Fi使用パッケージ、オンライン英会話などにも定額制で話し放題になるサービスがある。

 このサブスプリクション型ビジネスの一番の訴求ポイントは、ユーザーが必要な時に必要なサービスを自由に選択できること、さらにはすぐに解約できる点だ。すなわち、ユーザーがその商品やサービスに満足できない場合には、ユーザーの意思で契約を止めることができ、より自身のニーズに近い他の商品やサービスを選択することができる。主役はユーザーだ。

 これらの変化は「移動」にも波及し、ライドヘイリング(タクシーのようにA地点からB地点に個人の乗客を確実に届けるサービス。Uber(ウーバー)などのサービスを指す)を中心としたMaaSサービスを生み出した。MaaSによって車は「所有」するものから「利用」するものへと大きく変化し始めている。

 では、この変化は自動車産業にどのようなインパクトをもたらすのか。自動車産業市場の成り立ちからひも解いてみよう。

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