“移動(モビリティー)” をサービスと捉える新しいビジネスモデル「MaaS(マース、Mobility as a Service)」。その普及には大きな期待がかかっているが、しっかりとマネタイズをして永続性のあるビジネスを構築できなければ、国内では人口減によって衰退の運命が待つ交通産業を救うことはできない。アビームコンサルティングで自動車産業セクターを担当するコンサルタントの轟木光氏は、MaaSのマネタイズの鍵は「富裕層」と「ゴールドラッシュ」にあると言う。(内田 泰=日経 xTECH)

(イラスト:tiquitaca / PIXTA)
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人口減に打撃を受ける交通産業

 MaaSは移動の利便性向上だけでなく、人口減少や高齢化により縮小する交通産業の活性化の役割が期待されている。特に地方都市において人口減少や高齢化がもたらす影響は大きい。新聞の報道によると、JR北海道において2017年度は全27線区で営業赤字となり、約半数の13線区で赤字幅が拡大した。その要因は人口減少などによる経営環境の悪化であった。

 書籍『人口減少と鉄道』(石井幸孝著、2018年朝日新聞出版)では、JR旅客6社の鉄道事業利益率を比較している。縦軸にJR旅客6社の鉄道事業利益率、横軸に各社営業エリアの人口密度を置いて比較したもので、それによると、人口密度が高いほど利益率は高く、両者が比例関係にあることがわかる。

 人口密度が低いJR四国とJR北海道は既に営業赤字の状態で、今後、都市の人口密度が低下すれば、その他各社の利益率も下がっていくことが予想される。

 またJR九州が公開している「路線別ご利用状況 2017年度」によると、輸送密度が4000人/日未満の路線は九州地方で14路線31区間存在する。旧国鉄時代は「特定地方交通線」としてバスへの転換が適当と判断された規模だ。

 今後の人口減少により、同規模レベルになる路線は九州だけでなく全国的に増加していくことが予想され、地方においては鉄道の存続そのものが危ぶまれている。これは鉄道の例だが、バスなど他の交通産業も同じような状況だ。既存の交通産業は、人口減少により存続できるかの岐路に立たされている。

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