国内ITサービス企業の収益力(営業利益率)ランキングや成長性(営業利益の伸び)ランキングを基に、好業績の企業3社に着目し、高利益率の秘訣を聞いた。

 まずは収益力を示す営業利益率ランキングにおいて、国内上場ITサービス業で3位となった兼松エレクトロニクスだ。2018年度の営業利益率も14.9%。ここ数年をみても15%前後と高い水準を維持している。

 首位のオービック(2018年度営業利益率51.2%)、2位のトレンドマイクロ(同22.3%)には届かないものの、プロダクト開発ではなくシステム開発受託を主軸とするITサービス企業ではトップに位置する。大手SI(システム構築)企業の大半は営業利益率が10%未満にとどまるなか、出色の数字と言える。売上高も前年度比8.3%増の673億9600万円と伸ばした。

 兼松エレクトロニクスが高い利益率を維持している秘密は大きく2つある。

 1つは事業モデルだ。同社は一部ベンダーとの協業案件を除き、下請けに入らず顧客企業と直接取引するポリシーを貫いている。さらにストレージシステムなどの専門性を生かし、システムの設計から保守運用までをワンストップで提供している。

 同社は製造業や流通業、金融業などに向けて、米ネットアップや米ヴイエムウェアなどの製品を使った情報システムの構築と保守運用を一括で受託している。2018年度は製造業であれば設計や開発のためのデータなど、企業が保有するデータ量の増加に伴ってサーバーやストレージ関連の事業が堅調だった。

 機器の販売だけでなく、設計や構築ができる技術体制を整えており、付加価値を高めている点が高利益につながっているという。このほか、働き方改革に直結するVDI(仮想デスクトップ)環境の構築に関する需要も伸びているとした。

 事業モデル自体の強みに加え、「全社で採算意識を徹底している」と同社の作山信好専務取締役本社機構担当は語る。これが2つ目の強みだ。

兼松エレクトロニクスの作山信好専務取締役本社機構担当
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 例えばシステム構築を手掛ける日本オフィス・システムを2015年に完全子会社にした後は、人員削減や関西支社の閉鎖、採算性の低い長期プロジェクトの見直しなどを続け、買収当初は3億円ほどだった営業利益を約14億円まで改善した。

新体制でクラウド化の波に備える

 同社は2019年4月から新社長の下で始めた新中期経営計画(3カ年)の重点施策の1つとして、これまでのオンプレミスでの機器販売から、クラウドを介して必要なITリソースを従量課金制で提供するといったサービス型事業の成長を挙げている。

 「従来の事業は引き続き成長が見込めるが、クラウド移行のトレンドは避けられない」。作山専務はこう話す。そのための環境構築を含め、3カ年で合計100億円を投資する予定だ。

 サービス型事業の販売に向けた組織改編も進める。従来、営業職や技術職は東京や大阪、名古屋などエリアごとに縦割りとなっていた。現在は営業本部や技術本部を設置し、エリアを横断して同レベルのサービスを提供できる下地を作った。

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