三菱電機の家庭用エアコン「霧ヶ峰」を造る静岡製作所が、2019年5月に開発設計拠点「空調技術棟」を新設した。投資総額は約50億円。場所は同製作所のど真ん中だ。静岡製作所は1954年の設立から65年を迎えたが、新技術棟建設の理由は老朽化ではない。では、三菱電機が同製作所の中心に新技術棟を建設した理由は、一体何だろうか。

 三菱電機が静岡製作所(静岡市)に新たな技術棟となる「空調技術棟」を建設した。「霧ヶ峰」を含むエアコンを開発および設計する拠点だ(図1)。三菱電機が静岡製作所(静岡市)に新たに設けた。2019年5月24日に建物が完成し、同年6月から一部の稼働を開始。2020年3月からフル稼働させる予定だ。

図1 エアコンの新開発拠点となる「空調技術棟」
静岡製作所内に新たに建設した。(出所:三菱電機)
[画像のクリックで拡大表示]

 新技術棟建設の理由が老朽化による建て替えや耐震性の強化、あるいは事業縮小やリストラによる拠点の統廃合といった話なら、特段珍しくはない。この空調技術棟で見るべき点は、技術者の視点に立ち、開発設計の能力を引き出す造りにしていることだ。具体的には、[1]効率と[2]創造力の2点を高める仕掛けを施している。

 エアコン事業を含む空調冷熱システム事業は三菱電機にとって成長事業の1つだ。グローバル展開が功を奏し、海外の売り上げが伸びている。同社は売上高を2020年度に1兆円と、2012年度の5200億円から2倍弱に引き上げる計画を現在進めている(図2)。8年で売り上げが2倍弱になるということは、当然、開発設計の業務が増加するということだ。

図2 エアコン事業を含む空調冷熱システム事業の売上高
2020年度に1兆円まで引き上げる目標を掲げている。(作成:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 静岡製作所は世界の「マザー工場」である。新機能を搭載したエアコンは、基本的に日本で開発設計する。そこから現地のニーズに合わせ、機能などを引き算した製品を世界の各市場に投入していくというのが、同社の開発設計の進め方だ。グローバル展開の拡大に伴い、製品の種類は増えている。その分、静岡製作所の開発設計者の業務量は増大する一方だ。にもかかわらず、開発設計者の人数は2015年度から1.3倍にしか増えていないという。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら