1967年に三菱電機が発売した家庭用エアコン「霧ヶ峰」。今年(2019年)52年目を迎える霧ヶ峰をこれまで造り続けてきたのは静岡製作所(工場)だ。その静岡製作所が新たな目標に挑んでいる。世界のマザー工場として範を示すべく、「不良ゼロ」の確立を目指しているのだ。その具体的な施策は、ミスのできない仕組みを採り入れた「作業ナビ」の導入だ。

 熟練作業者の心理にまで踏み込み、不良の芽を摘む仕組みを導入──。三菱電機の家庭用エアコン「霧ヶ峰」の最上位機種「FZ」シリーズを造る「Zライン」。熟練者作業者によるセル生産をベースとするこのZラインには、ミスのできない仕組みを採り入れた「作業ナビ」を使っているという大きな特徴がある。

 具体的には3つの仕組みを作業ナビに導入した。①「忘れパーツ」を忘れない仕組み、②作業者の心理を変える仕組み、③「ヒヤリ」の段階で対策する仕組み、である。

 まずは、①の忘れパーツを忘れない仕組みだ。エアコンは組み立てる順序が決まっており、銅管を熱交換器のフィンに挿入する作業や、ろう付け作業といった機能に直結する重要な作業を忘れることはまずない。気を付けるべきは、締結要素(ボルトやナット)やキャップなど、作業者が一度作業すると、その後で誰も触らない部品の取り付け作業だ。こうした部品を三菱電機は「忘れパーツ」と定義した。

 忘れパーツを扱う作業場面になると、作業ナビから「忘れパーツです」と音声が流れて注意を促す(図1)。この音声は、その作業を行う熟練作業者自身の声を録音したものだ。「他人の声では聞き流すことがあるが、自分の声は聞き漏らしにくい」(同社)ためである。

図1 「忘れパーツ」について注意を促す作業ナビの画面
忘れパーツを扱う際に、作業ナビから「忘れパーツです」という音声が流れて注意を促す。各作業者の自身の声を録音した音声を使うことで聞き漏らさないように工夫した。(写真:日経 xTECH)
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