失敗しても、またチャレンジしていい

 私が社長になってから、日本経済新聞の未来面という、いろいろな会社のトップが自社の製品の未来を語るという場面で、私にもお声がかかり、「未来の航空機について皆さん提案をしてください」と呼びかけました。30年後の航空機ってどんなのがあったらいいですかねと。

 そうすると、例えば宇宙旅行ができる、あるいは体の不自由な人にフレンドリーなようにエコノミークラスでもシートが倒れるものが欲しいといったアイデアが寄せられました。そうした中、ソーラーパワーで安全に飛べる優しい航空機というアイデアを出してくれた人がいました。この方のアイデアはすごくて、天候に合わせて高度やルートを全てコンピューターがコントロールし、危険なときも自動回避できる。そして、いすもお客さまの体に合わせて変形していく。3Dの眼鏡をかけて、そして音楽や読書もできる。タッチパネルでオーダーした機内食をロボットが持ってくる。運賃の一部は世界の恵まれない人に寄付することもできる。「こういった夢のあふれる航空機が登場してきたらいいな」。そんなことが書いてありました。これ、どうでしょうか。私が先ほどからお話しした取り組みで一部、あるいは少しずつ取り組んでいるなと思っています。

 私はタッチパネルで機内食をオーダーする仕組みで失敗しましたけれども、またチャレンジしていいんだと思います。最近はフードロスという問題があります。今までは機内食を選ぶときに選択肢が減ってはならないということで、相当量のミールを余分に積んで、捨てています。これも事前に予約の段階で機内食もオーダーいただくことでロスを防ぐことができ、サステナビリティー(持続可能性)につながる世界かなと思っています。

(撮影:井上 裕康)
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 本日の講演のまとめです。エアラインビジネスは未来に向けて進化を続けたいと思っています。そこで大事なのが人々の「ソウゾウ」の力、イマジネーションとクリエーティビティーだと思っており、当社もイノベーティブな人材を育てますし、外部からも募集しています。皆様の多くが携わっているデジタルトランスフォーメーションも不可欠だと思っています。それにはITの力がなくてはできませんし、当社1社ではできません。多くのものが集まり、つながって1つのものをつくる時代になってきたかと思います。

 忘れてならないのは、取り組みは全てうまくいくとは限らないということです。成功というものは、失敗の後にその積み重ねで生まれてくるものだと私自身も体験しましたし、今後も続けていく必要があると思っています。最初に副題として「デジタルはヒコーキを変えるか?」と質問を出したわけですが、今日の講演の結論はずばり、デジタルはヒコーキを変えていくと思っております。今日はご清聴ありがとうございました。

日経BPが2019年7月に開催したIT関連イベント「IT Japan 2019」における基調講演を基に構成しました。