(イラスト:勝田 登司夫)
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「私は依頼者の味方になろうと思っただけなのに…」。設計事務所を主宰するC氏は、そのときの失言を思い出すたびに深い後悔の念にかられるという。日経 xTECH/日経ホームビルダーの読者を対象にした「顧客に対する失言&マナー違反」アンケート調査に寄せられた失敗談の1つだ。

 それは依頼者と施工者を交えた大規模リフォームの打ち合わせの席でのことだ。C氏は依頼者と面識があり「資産家でありながら、お金に細かい人。外見は大雑把に見えるが、小さな支出でも納得しない限り了承しない」と捉えていた。一方、施工者は、依頼者が発注する工事を請け負うのは今回が初めて。金銭感覚に厳しい人であることを知らない。

 三者会談の席上、基本設計の内容を詰めていると、施工者は折に触れて高額な仕様を提案してきた。C氏は施工者の発言を聞きながら心配になった。「どうも依頼者のことを、資産家で大雑把な性格だと勘違いしているようだ。この様子では、施工者は調子に乗って高めの見積もり金額を出すかもしれない」

 施工者に釘を刺そうと、C氏はその場で「お客様はこう見えてお金に厳しい方。無駄なコストを削った見積もりを出してください」と声をかけた。

 その場では何事もなかったのだが、打ち合わせが終わった後、施工者を通じて依頼者から「今回の話はなかったことにしてほしい」という連絡が入った。設計契約を結ぶ直前だったのに、ご破算になった。

 依頼者はC氏の言葉に対して、「自分は金がないわけじゃない。あんな言い方は失礼だ」と立腹していたという。「いつもはあんな余計なことは言わない。顧客と施工者が見積もりを巡ってもめると予想したので、つい言ってしまった」とC氏は悔やむ。

 この事例からも分かるように、依頼者の性格や金銭感覚を口にするのは非常に危険だ。「太っ腹だから」「お金に厳しいから」といった言葉は、けなすつもりがなくても誤解を与えかねない。依頼者を批評するような言葉は避け、見積もりの内容に徹するべきだった。

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