自動車部品大手のドイツZF(ZF Friedrichshafen)は、ドイツ・ドレスデンで開催した技術イベント「ZF Global Technology Day 2019」で同社の電動化戦略を発表した。環境規制を背景に電動化は欠かせないが、「どうやって手頃な価格を実現するか」が重要とする。

 同社は今回のイベントで「モビリティー・ライフ・バランス」と呼ぶコンセプトを掲げた。渋滞や環境汚染、車酔い、事故など、現在のモビリティーは生活とのバランスがつり合っていないという。その課題を解決する上で、電動化や自動運転の技術コストが高くなりすぎていることを問題視した。手頃な価格であらゆる人々に提供できる技術が必要とする。

 電動化に関しては、同社CEO(最高経営責任者)のウォルフ=へニング・シャイダー(Wolf-Henning Scheider)氏が「2030年に販売される新車の70%は内燃機関を搭載する」と述べた(図1)。電気自動車(EV)は電池コストが高く、2030年でも新車の30%にとどまる見通し。内燃機関車やマイルドハイブリッド車(MHEV)、ストロングHEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)が70%を占めるものの、「その内訳は市場が決めるため、予測が難しい」(同氏)とする。

図1 ZF CEOのウォルフ=へニング・シャイダー氏
(撮影:日経Automotive)
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 こうした状況の中、同社は内燃機関車やMHEV(P0、P1、P2)、PHEVを柔軟に構築できるシステムを開発した(図2)。モーターや電力制御システムを統合した8速のハイブリッド変速機「8HP」の第4世代品を使う(リリース)。変速機の外形寸法をほぼ変えずにMHEVやPHEVを構成できるため、自動車メーカーは市況に応じてパワートレーンを切り替えやすい。フロントにエンジンと変速機を縦置きするほぼ全てのセグメントの車両で使える。

図2 第4世代の8HP
(出所:ZF)
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 すでにドイツBMWや欧米FCA(Fiat Chrysler Automobiles)が採用した。その決め手になったのが、この柔軟性だったという。出力は24k~160kWに対応する。ドイツ・ザールブリュッケン工場で2022年に量産する。その後、米国や中国などでも生産する計画である。なお、第4世代8HPの最大の顧客はBMWで、FCAは2番目とする(リリース)。

 第4世代8HPは、「コンベンショナル」「MHEV」「PHEV」の3種類がある(図3)。コンベンショナルは変速機のみの仕様で、内燃機関車やBSG(ベルトスタータージェネレーター)を使ったMHEV(P0)に使える。MHEVは、48Vシステム(P1、P2)に対応し、変速機の中にモーターや電力制御システムを内蔵する。P1の場合はエンジンとモーターを切り離すクラッチがなく、EV走行はできない。P2の場合はクラッチがあり、モーターのみのEV走行ができる。最上位のPHEVは、変速機の中に高電圧駆動のモーターや電力制御システムを内蔵する。いずれもシステムの外形寸法はほぼ変わらない。

図3 MHEVとPHEVは変速機内にモーターと電力制御システムを内蔵する
(出所:ZF)
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 対応するトルク範囲は、600N・m以下、800N・m以下、1000N・m以下の3タイプを用意し、コンベンショナルとMHEVでは600N・mと800N・m、PHEVでは800N・mと1000N・mにそれぞれ対応する。

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