鴻池組が得意先の機械メーカーから液状化対策の相談を受けたのは、5年ほど前のことだった。

 南海トラフ巨大地震の被害想定が、波紋を広げていた頃だ。政府は2013年、経済損失が最大220兆円を超えると記した報告をまとめた。

 鴻池組を頼ったメーカーは、南海トラフ巨大地震による被害を抑えようと、自社の工場敷地の液状化対策を検討しているところだった。

 既存工場の敷地の液状化対策は通常、生産設備を稼働しながら実施する。そのため、大規模な工事は難しい。小型の建設機械を用いる薬液注入工法が適している。

 薬液注入による液状化対策では、水ガラス系(主剤がけい酸ナトリウム)の薬液が用いられる事例が多い。公共工事で使用する注入材は、旧建設省(現在の国土交通省)が1974年に示した「薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針」に基づき、安全性の観点から水ガラス系に限定されていたからだ。

 ただ、水ガラス系の薬液は、アルカリ性の地盤に適さないとされる。ゲルの溶解度が急激に上昇し、改良土が劣化したり、強度が低下したりする恐れがあるためだ。

 鴻池組の得意先も、自社の工場敷地で薬液注入工法による液状化対策を検討していた。しかし、強いアルカリ性を示す工場敷地に適した薬液が見つからず、頭を抱えていた。

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