国内自動車市場の屋台骨と言える軽自動車。そのエンジン技術が面白い。中でも筆者が注目しているのが、24カ月連続首位のホンダ「N-BOX」と同車の牙城に挑むダイハツ工業の新型「タント」である。

 軽自動車なのでともに排気量0.66Lの吸気ポート噴射直列3気筒。コストはそれほどかけられないはずだが、N-BOXの「S07B」型とタントの「KF-VET2」型には気合いの入った技術をつぎ込んである。過給エンジン仕様の技術を比べてみたい。

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左がタント、右がN-BOXのエンジン。(日経 xTECH撮影)

 違いを端的に表すと、「大量排ガス再循環(EGR)&ロングストローク」のダイハツと、「超ロングストローク&可変バルブタイミング・リフト機構(VTEC)」のホンダである。共に新しい無段変速機(CVT)と組み合わせている。

 2機種は甲乙つけがたいが、玄人好みの観点で、タントに軍配を上げたい。軽自動車にVTECを採用したホンダに敬意を表するが、ダイハツの安定燃焼へのこだわりに感心するからだ。加えて「D(デュアルモード)-CVT」も凝った技術で、よく軽自動車に採用したものである。2機種を詳しく見ていこう。

ダイハツ、噴射やプラグ配置で技が光る

 新型タントのエンジン「KF-VET2」は、KF型ターボの4世代目で、トヨタの「TNGA」にならう「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」エンジンの第1弾である。

 タントに乗ってまず驚いたのは、軽自動車と感じさせないくらいに静かでスムーズな加速感であること。振動・騒音(NVH)ではN-BOXに明らかに勝る。走行モードで「パワーモード」にすると、アクセルペダルの踏み始めの加速感が軽自動車の水準を超えていた。

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タントと筆者。(日経 xTECH撮影)

 パワーモードでは、アクセル開度とスロットルの関係を敏感にして非線形的にレスポンスを向上している。また、高速時にはデュアルモードCVTをスプリットモードにして歯車駆動の比率を高くしてエンジンの低回転側で走行するという。このCVTのおかげで、軽自動車特有の高速時の苦しそうな高回転うなり音が鳴りを潜めていた。

 エンジン骨格の特徴は、ストローク/ボア比(S/B比)が1.12(70.4mm/63.0mm)とロングストロークにしてあることだ。ホンダS07Bエンジンには及ばないが、それでも長いほう。圧縮比は、9.0と通常の過給エンジン並みである。

 燃焼の考え方は、大量クールドEGRと高タンブル流(縦渦)による低燃費化の実現だろう。そのタンブル流を気筒内に生成できるように、なるべく真っすぐな吸気ポートの形状にし、従来比2倍に強めたという。

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