GbEを導入している企業では、Cat.5eのLANケーブルを配線している。だが、Cat.5eは10GbEに対応していないため、10GbEの導入にはCat.6AのLANケーブルに張り替える必要がある。

 そこでGbEよりも広い帯域が必要な場合、2.5GbE/5GbEを採用するという選択肢もある。2.5GbE/5GbEはCat.5eに対応しているため、既設配線がCat.5e以上であれば、工事不要で高速化できる。

 このようにLANケーブルの配線のコストについては、2.5GbE/5GbEは魅力的だ。だが、スイッチやAPなどを入れ替える必要があるので、複数のLANケーブルを利用できる場合にはGbEをLAGで増速する方法よりもコストがかかってしまう。

 また、10GbEに比べ、増速は限定的だ。10GbEなどとは異なり、必ずその速度で通信できるわけではないからだ。2.5GbEや5GbEは本来のケーブルの性能以上に通信速度を引き出す規格となっており、2.5Gビット/秒あるいは5Gビット/秒で通信できるとは限らない点に注意が必要だ。

 具体的には、5GbEの場合はCat.5e対応LANケーブルで動作を保証するには既存のテストだけでは不十分で、高い周波数に対応しているかどうか追加のテストが必要となる。LANケーブルの劣化や敷設状況・環境によっては通信できなかったり不安定になったりといった事象が発生する。

 また、2.5GbEと5GbEのいずれの場合も、Cat.5e対応LANケーブルを50〜75m以上の距離で複数本束ねて利用する場合、エイリアンクロストークと呼ばれる信号漏れにより、通信できなくなることがある。

 2.5GbE/5GbEの導入に際しては事前にケーブルのテストを行う、実際の機材で問題なく通信できるかを確認する、などの対策が必要となる。

 これらの理由から単にLANケーブルの張り替え予算を浮かせるためではなく、導入が適切かどうか検討することを推奨する。ケーブルを複数本使えない、機器更改時に念のために増速したい、新規ケーブル敷設・張り替えが困難──といった状況で導入を検討すべきだろう。

光ケーブル工事が必要なケースも

 100mを超える接続では光ファイバーケーブルが利用される。大きくマルチモードファイバー(MMF)とシングルモードファイバー(SMF)の2種類に分けられる。SMFは長距離伝送に向くが装置が高価になる。そこで企業用途では主にMMFが使われる。

 光ファイバーケーブルにも性能を示すグレードという分類がある。MMFの場合はOM1〜OM5、SMFの場合はOS1〜OS2が規定されている。

光ファイバーケーブルのグレードと最大伝送距離
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 例えば、光ファイバーケーブルの10GbEでよく利用されている「10GBASE-SR」という規格では、OM3以上の光ファイバーケーブルを用いる必要があり、既設のケーブルがOM2以下であれば張り替えなければならない。

 そのため、LANケーブルについて工事不要の選択をしても、光ファイバーケーブルについては工事が必要となる場合があるので、注意が必要だ。