2019年9月9日、首都圏を直撃した台風15号の影響により在来線の運転見合わせが相次ぎ、朝の通勤は大混乱に陥った。「テレワークができれば会社に行く必要はなかったのに」。こう思った方も多かっただろう。だが、テレワークの導入にはIT環境の整備や就業規則の変更などが欠かせない。コストもかかる。特に中小企業の場合、ITの専門家がいないといった理由から導入をためらうケースが多い。

 そんな企業に朗報だ。中小企業に対してテレワークの導入を促す施策を国や東京都が大規模に打ち出している。無料で導入のためのコンサルティングを受けられたり、IT環境の整備費用の一部が補助されたりする。

 テレワークの普及は国や東京都にとって喫緊の課題だ。開催まで1年を切った2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、観客の移動などで都心や競技会場付近で交通混雑が予想されている。テレワークの導入を企業規模にかかわらず広く促すことで、交通混雑による混乱を避けたい意向だ。

都は35億円をかけてテレワークの導入を支援

 中小企業に向けたテレワークの導入支援事業を複数、手掛けているのが東京都だ。大会期間中、都内の交通混雑の緩和を狙って、都内の企業に向けて「スムーズビズ」と呼ぶキャンペーンを進めている。

 スムーズビズは、(1)交通量を計画的に抑える交通需要マネジメント(TDM)「2020TDM推進プロジェクト」、(2)通勤ラッシュを緩和するため通勤時間をずらす「時差Biz」、(3)テレワーク――の3つからなる。このうちテレワークは在宅勤務などで交通混雑を回避する有力な手段と重視しており、都内企業への普及を図る。

 都が2018年、30人以上の社員がいる都内企業を対象に調査したところ、テレワークを導入している企業は19.2%だった。2017年の調査に比べて12.4ポイント増えた。テレワークが都内の企業で着実に普及している。

 しかし「東京大会に向けて、テレワーク導入率を35%にすることを目指している。その達成にはより一層の導入推進策が必要だと考えて、様々な事業を行っている」と東京都の松田義史産業労働局雇用就業部労働環境課長は話す。

検討、試行、導入の3フェーズごとに都内企業を支援

 2019年度、都が手掛けるテレワーク普及事業は業界団体と連携するものもあるが、中堅・中小企業のテレワーク導入を直接支援する事業を手厚くしている。具体的には、テレワークの「導入検討」「試行」「本格導入」の各フェーズにいる企業それぞれに向けて3つの事業を進めている。3つの事業はいずれも、社員が1000人未満の中堅・中小企業が対象だ。

東京都が2019年度に取り組むテレワーク関連事業の概要
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