技術の進化に伴い、それらを活用したデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に取り組むプロジェクトが増えています。DXという言葉にはさまざまな解釈がありますが、一般的には、デジタル活用によって既存の事業モデルを根本的に変えるような取り組みを指します。AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などを用いて新たなサービスを生み出したり、既存事業の収益構造を変革したりするものです。

 新たなシステム開発を伴うDXプロジェクトには成功事例も出ていますが、苦戦している企業も多数あります。「PoC(概念実証)ばかりで具体的な成果が出ない」「手掛けているのは一部の部門だけで、全社的な取り組みにつながらない」という声も多く聞かれます。

 ITベンダーなどDXプロジェクトを受託する側としても、DXをリードできる人材がいない、どう進めたらいいか分からないという課題を抱えている会社が多いのではないでしょうか。

プロジェクトの進め方が大きく異なる

 従来、多くのITベンダーは、基幹系システムなど業務システムの開発を通じて成長してきました。しかし、基幹系システム開発プロジェクトとDX開発プロジェクトでは多くの点が異なります。その違いを踏まえずに、基幹系システム開発プロジェクトと同じ進め方をすると、DXプロジェクトはうまく進みません。

 筆者はプロジェクトマネジメントのプロとして、複数企業のDXプロジェクトの運営を手掛けてきました。それ以前は基幹系システムの開発にも携わっていましたが、DXとの違いを痛感しています。

 本特集では、これまでの筆者の経験を基に、DXのプロジェクトマネジャー(PM)やリーダーが、プロジェクトをうまく進めるポイントを5回にわたって解説します。従来型システム開発プロジェクトとの対比も交えながら、一から説明します。

 今回はまず、基幹系システム開発プロジェクトとDXプロジェクトの違いを整理します。そして、DXプロジェクトを円滑に進めるために最も意識しておかなければならない重要なポイントをまとめます。

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