みずほフィナンシャルグループ(FG)によるシステム統合プロジェクトが進むにつれ、興味深い実情も明らかになっていった。勘定系システム開発では珍しい「超高速開発ツール」の全面採用や、2年もの長きにわたるシステム移行プロジェクトである。「日経コンピュータ」の記事から振り返ろう。

超高速開発ツールを大規模採用

 最盛期には7000人を超える要員が投入されたみずほ銀行次期システム開発の「現場」は、実際にどう動いているのか。その一端を明らかにしたのが日経コンピュータ2015年10月1日号の特集「広がる『超高速開発ツール』」だった。「流動性預金」をはじめとする勘定系システムの主要アプリケーションの開発に、ツールがプログラムを自動生成する超高速開発ツールを使用していたのだ。

 みずほ銀行の新勘定系システムはSOA(サービス指向アーキテクチャー)を全面採用している。システムは12種類のアプリケーション(コンポーネント)に分割されており、アプリケーションによって使用するハードウエアアーキテクチャーも、開発担当ITベンダーも異なる。

 12種類のアプリケーションの中でも富士通が開発を担当する6種類で、富士通の超高速開発ツールである「FUJITSU Software Interdevelop Designer」が採用されていた。具体的には流動性預金のほか、顧客認証、内国為替、行内勘定、外部チャネルバッチ処理、定期預金が適用範囲だった。

 超高速開発ツールとは業務に関するルールを自然言語や数式などで記述すると、プログラムが自動生成されるツールだ。プログラミングの単体テスト工程をほぼゼロに短縮できるツールではあるが、みずほ銀行が超高速開発を選んだ理由は単なる工数削減ではなかった。同記事は「開発の速さではなく、業務ルールをツールに入力するプロセスによって、システムが統制しやすくなる点を評価」した結果だと報じている。

 新しい勘定系システムは6000本ものプログラムによって構成する。プログラミング言語もCOBOLとJavaが混在する。開発から「属人的な部分をなくし、全体を統制しなければ、開発はもちろん、後々の保守が持たない」(同記事)という考えから、誰が使っても同じ品質のプログラムが生成される超高速開発ツールを選択した。

品質にこだわりテスト工程を厚く

 みずほ銀行は新勘定系システムの開発に当たって「品質」に強くこだわっていた。超高速開発ツールの採用だけではない。テスト工程段階でも通常は実施しない工夫を盛り込んでいたと日経コンピュータ2015年12月10日号の記事「みずほ銀行が挑む『次期勘定系』統合・刷新 3層構造SOA、全貌が明らかに」が伝えている。

 同記事はみずほ銀行のテスト工程に関して「結合テストを迎えるに当たり、約1カ月間のプレ工程を追加した。代表的な取引処理などをピックアップし、一通りのテストを行う」「顧客などと実施する接続テストの対象範囲を広げた」「特殊な事務処理に関する項目では、本部の利用部門だけでなく事務センターや大型支店に所属するメンバーも加わってもらい、“机上“で確認を行う」などと報じている。

 みずほ銀行の新勘定系システムは、旧みずほ銀行、旧みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3つの勘定系システムを統合するものだ。しかもどこかの銀行の勘定系に「片寄せ」するのではなく、全く新規の勘定系システムを新たに作り直した。それだけにテストには念を入れたわけだ。

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