みずほフィナンシャルグループ(FG)の全面的なシステム刷新が本格的に動き始めたのは2011年だった。大規模なシステム障害を2度と起こさないことが最優先の経営課題になったからだ。「日経コンピュータ」の記事から振り返ろう。

 2011年3月の東日本大震災の直後に大規模なシステム障害を起こしたみずほ銀行。金融庁は2011年5月末、同行と親会社であるみずほFGに対して業務改善命令を出した。みずほ銀行とみずほFGは命令に従って情報システムの改善計画を立て、その進捗を金融庁に報告することになった。3カ月に1度の進捗報告は、2012年10月に命令が解除されるまで続いた。

老朽化した勘定系を総点検

 みずほFGがまず取り組んだのは、みずほ銀行の勘定系システム「STEPS」の総点検だった。日経コンピュータ2012年8月2日号の特集「みずほ、復活への再挑戦」が、その内容を詳しく報じている。

 旧第一勧業銀行が1988年に運用を開始したSTEPSは、システム構築に携わった担当者が引退するに従って、システムのどこに超えてはならない「上限値」が存在するのか、あるシステムのエラーがシステム全体や外部システムに影響を与えるのかが、すぐには分からない状態になっていた。

 みずほFGはシステムの全体像を把握するために「データフロー図」を作成した。「振り込み」「預金」「支払い」「税金」など15種類の決済業務を対象に、システム内をデータがどのように流れるのかを可視化した図である。みずほ銀行のシステム部門や利用部門、情報システム子会社であるみずほ情報総研を総動員して丸1年の期間をかけて作成した。

 データフロー図を作ることによって、それまでは各担当者の頭の中だけに存在したデータの流れを、組織全体で共有できるようになり、システムに存在する上限値やエラー処理の見直しが進んだ。日経コンピュータの同記事は「エラー処理の際に実行する自動運行ジョブのパターンや数を大幅に増やした結果、センター集中記帳処理で異常が発生してから復旧するまでの時間を1時間に短縮した。2011年3月のシステム障害では5時間かかっていた」などと見直しの成果を紹介している。

勘定系システム開発の歴史の中でも異例

 STEPSの総点検と並行して進めたのが、STEPSそのものの刷新である。しかも単に刷新するだけでなく、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行というグループ内にある3つの銀行の勘定系システムを1つの新システムに統合することにした。

 これは日本の銀行業界における勘定系システム開発の歴史において、極めて異例の判断となった。

 第1に勘定系の全面刷新そのものが異例である。日本の銀行は1960年から1980年代まで定期的に勘定系システムを全面刷新していた。しかし1980年代後半に第3次オンラインシステムが完成して以降、それを全面刷新したメガバンクは存在しなかった。

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