2019年7月15日についに完了したみずほ銀行のシステム統合。20年にも及ぶその苦闘を「日経コンピュータ」の記事で振り返る。1999年8月30日号は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合する目的として「戦略IT投資の強化」を掲げていたことを取り上げ、それが非常に難しいことを指摘していた。

 全面的な企業統合で合意した第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3頭取は8月20日、「統合により徹底した合理化を図る一方、戦略的な情報技術(IT)投資を積極的に実施し、米国銀行に対抗していく」と宣言した。統合後は、主要な米国銀行に並ぶ「毎年1500億円程度」のIT投資を敢行する。

 記者会見の席上、興銀の西村正雄頭取は、「3行の統合によってわが国の金融機関再生のフロント・ランナーになりたい。それには情報システムが重要だ」と説明し、統合の効果としてIT投資の増強を挙げた。「今はまさにIT革命の時代。にもかかわらず、邦銀のIT投資は年間500億~600億円程度。これでは年間15億ドルを投じる米銀に追い付けない」(西村頭取)。

 これを受けて富士銀行の山本惠朗頭取は、「3行で既存の情報システムの早期統合を図ることで、IT投資を節約できる。節約した分を戦略的なIT投資に回し、IT活用でもフロント・ランナーを目指す。世界最高レベルの金融商品とサービスを実現するうえで、IT投資はキー・ファクタ」と応じた。

 99年度の計画によれば、第一勧銀が550億円、富士銀が600億円(安田信託銀行分も含む)、興銀が236億円のシステム投資を見込んでいる(行内の情報システム部員の人件費は含まず)。

 ざっと合計すれば1400億円。今後は各行の既存システムを統合して節約した分を、戦略的なIT投資に回していく。こうして金額だけでなく質的にも米銀並みのIT投資を維持する考えだ。「新しい金融商品やサービスを支えるシステムや、マーケティングに使えるデータベース・システムに積極投資していく」(山本頭取)。

 しかし、統合は簡単ではない。3行の既存システムは、さまざまなメーカーのメインフレーム上で構築されている。これらを統合することは技術的に難しいうえ、統合するために膨大なコストがかかる。しかも、システム統合と並行して新規の開発も進めなければならない。

表 「全面的統合」を決めた3 行と大手メーカー3 社との関係。主要アプリケーションで主に利用しているメインフレームなどのメーカー名を示した
第一勧業銀行富士銀行日本興業銀行
勘定系富士通IBM日立
情報系日立製作所/富士通IBM/日立IBM
証券系富士通/IBM日立日立/IBM
国際系IBMIBM日立

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