半導体製造装置メーカー、ディスコがITベンダー顔負けの内製化を進めている。施策は多岐にわたる。まず2019年4月から始めたソフトウエア開発スキルを測る段級制度と、人事や経理といった業務担当者がシステム開発できるようにした環境づくりを見ていこう。

 半導体製造装置メーカーのディスコが「全社員プログラマー化計画」を進めている。装置向けの組み込みソフトを開発するエンジニアだけでなく、人事や経理といった非技術系業務の担当者もパソコンやスマートフォンで日々使う業務アプリケーションを自ら開発できるように、スキルアップを促す。

 具体的には2019年4月、ソフト開発スキルのレベルを判定できるようにするため、社内向けの段級制度を設けた。全部で19レベルあり、10級から1級までは主に業務担当者を対象にしている。Excelを使った演算といった初心者の10級から始まり、部署内の業務を改善するソフトを設計できる1級までを測る。

ディスコが社員向けに整備したソフトウエア開発スキルに関する段級制度の概要
[画像のクリックで拡大表示]

 級の上の段は初段から9段まである。主に組み込みエンジニアのスキルを測る狙いだ。初段は顧客や他部署に販売できるソフトを設計できるレベルだ。2段以上になると「OSを理解している」「アセンブラでソフトを設計できる」「OS、CPU、アセンブラソフト、コンパイラソフトを全て設計できる」など、コンピューターに関するより広く深いスキルがあるかを測れるようにしている。

 段級制度を始めた背景には、ソフトウエアエンジニアが社内で不足している現状がある。最高情報責任者(CIO)なども兼務するディスコの関家一馬社長は「ソフトウエアの勉強をちょっとするだけで、自身でできることの幅は大きく広がる。情報システム部門といったプロの部署に頼まなくても済むので、プロの部署の負担を減らせる。プロの部署に頼む必要がある場合でもソフトウエアを勉強しておけば、開発の頼み方も上手になる」と狙いを語る。

 ディスコは2018年夏ごろに段級制度の導入計画を社内で公表した。すると複数の部署で段級試験を目指した勉強会が始まり、徐々に他の部署へも広がった。2019年4月以降は段級制度に関する試験問題をイントラネットで公開し、社員がいつでも力試しができるようにしている。2019年7月時点で公開しているのは10級から7級までの試験だ。今後はより上位の級や段向けの試験問題を公開していく予定だ。

業務担当者でも開発できる仕組みを整備

 ディスコのように、業務部門の担当者を含めて「全社員プログラマー化計画」を進めている製造業は珍しい。全社を挙げて内製化を進められるのは、2014年ごろから業務部門の担当者自らが業務システムを開発してきた実績が大きい。

 例えば人事業務を担当している人財部は出張申請や人事考課で使う業務システムを開発してきた。出張申請システムは社員が出張の手続きを進める基本機能に加えて、訪問先の情報を自動通知できるような工夫も凝らした。海外出張の場合、訪問先の危険レベルが高いといった情報を自動で表示する仕組みも組み込んでいる。

ディスコの人財部が開発した出張申請システムの画面と特徴
(画面の出所:ディスコ)
[画像のクリックで拡大表示]

 開発を担当したサポート本部人財部の長沢圭一安全衛生チームリーダーはプログラミング経験が少ないほうだという。しかし「社員からのニーズに合わせて機能を加えているし、役立つ機能は思い立ったらすぐに追加開発できる」と話す。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら