多忙を極めるリーダーにとって、メンバーにうまく仕事を任せることは不可欠なスキルだ。しかし任せ方に失敗すると、仕事は途端に進まなくなる。本特集では日経SYSTEMSの過去記事を再編集。現場のリーダーが実践する任せ方のテクニックを習得しよう。

 リーダーがチームメンバーに仕事を依頼したときに忘れてはいけないのが、メンバーが問題を抱え込まないようにフォローすることだ。これを怠ると、期待した成果を出せずに終わるという最悪の結果を招いてしまう。

 フォローの策を講じるのは、リーダーの役目だ。「メンバーに仕事を任せたら、それで安心してしまうことがある。そのため、任せても責任はリーダーに残ることを肝に銘じて、メンバーに問題を抱え込ませないように心掛けている」と、SIerでマネジャーを務めるOさんは話す。

 メンバーに仕事を任せるテクニックは、任せる前の「準備」、任せるときの「依頼」、任せた後の「フォロー」という3つのフェーズで実践する必要がある。ここではフォローのテクニックを解説していこう。

フォローの頻度が多いと指示待ちに

 メンバーが問題を抱え込まないように任せるテクニックの基本は、メンバーが問題に直面したり判断に迷ったりしたときに、リーダーや周囲のメンバーにすぐ相談できるオープンな環境を作ることだ。

 そのため、「仕事の合間にメンバーとコミュニケーションをできるだけ図っておき、メンバーが悩みを切り出しやすくする」(別のSIerのMさん)、「現場にいるときには、常にやわらかい表情を保ち、メンバーが話しかけやすくする」(研修会社のKさん)といった心掛けが、リーダーには求められる。

 ただしフォローする頻度や、助言の伝え方には注意したい。そうしないと、「メンバーは指示待ち状態に陥ってしまう」(コンサルティング会社のIさん)からだ。

 リーダーが事あるごとにメンバーに状況を尋ねるなど、フォローする頻度が多いと、逆にメンバーがささいなことでリーダーに指示を仰ぐようになるという。こうなるとリーダーがフォローする時間を多く割かなければならず、任せた意味がなくなってしまう。

 任せたメンバーが問題や課題に直面していることをリーダーがつかんだとき、どんな助言の仕方をするかも要注意だ。フォローする側のリーダーは助言しているつもりでも、いつの間にか強い口調で「~しなければならないんだよ」「~しろ」などの、高圧的な言い方になっていることが少なくない。そうなると、「メンバーは『言われたことだけやればよい』と考えがちになってしまう」(Kさん)。

 任せた以上は、メンバーの主体性を尊重して、「打開策としてはこんな方法もある」といった、メンバーの判断や考えを促すように心掛けたい。

チェックするタイミングを作る

 多忙な現場では、任せたメンバーがリーダーに対して積極的に問題をオープンにしてくれるとは限らない。リーダーも、メンバーのフォローを忘れがちだ。そういった状況でも問題を抱え込ませないよう、オープンな環境を作り出す仕組みを現場に組み込みたい。これも、フォローフェーズで必要な任せるテクニックである。ここでは特に有効な「チェックタイミングの設定」「フォロー役の配置」の2つを取り上げる。

オープンな環境を作るのに有効な工夫の例
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