「コストを考えて搭載しない方向で検討を進めてきたが、万が一のことを想定するとリチウムイオン電池を1個追加せざるを得なかった」――。

 日産自動車の新型「スカイライン」でチーフビークルエンジニアを務めた徳岡茂利氏(Infiniti製品開発本部Infiniti製品開発部第一プロジェクト統括グループセグメントCVE)は開発を振り返る(図1)。自動運転車やADAS(先進運転支援システム)の普及を阻む“コストの壁”が見えてきた。

図1 日産の新型「スカイライン」
2019年9月17日に販売を開始する。運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載するハイブリッド車(HEV)モデルの価格は547万4520円から。(撮影:日経Automotive)
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 新型スカイラインの最大の特徴は、進化版の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載したことだ。高速道路上での、同一車線内の手放し(ハンズオフ)とナビゲーションに連動した車線変更や追い越しの支援に対応した。

 プロパイロット2.0を搭載するのは新型スカイラインのハイブリッド車(HEV)モデルで、価格は547万4520円から。今回の部分改良によって、現行車より約50万円高くなった。外観の変更やコネクテッド機能の充実も図っているが、価格上昇の大部分はプロパイロット2.0に対応するために追加した冗長化システムやセンサー、3D高精度地図データなどのコストと考えていいだろう(図2)。

図2 部分改良前のスカイライン
「Infiniti」のエンブレムを付けていた。(出所:日産自動車)
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 徳岡氏は、「運転支援機能は安全を提供する技術で、システムに何らかの不具合が発生した場合でもクルマを安全に停止させなければならない。手放し運転や車線変更の自動化などを実現するためには、強固な冗長性が欠かせなかった」と語る。

 プロパイロット2.0は事故が起こった際は運転者が責任を負う「レベル2」の自動運転(運転支援)だが、「走る」「曲がる」「止まる」に関わる部品や電源系、監視用センサーなどに冗長性を持たせた。これまで、自動運転の「レベル3」以上になってから必要だと考えられてきた内容だ。

 具体的には、(1)ステアリング、(2)ブレーキ、(3)電源、(4)周辺監視用センサー、(5)ECU(電子制御ユニット)、(6)車載ネットワーク――などである。冗長化に関連する部品の総重量は「数十kg」(徳岡氏)に達するという。ステアリングやブレーキは、現行車のハードウエアを流用しつつADASの冗長化に対応させた。

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