日産自動車は、2019年7月16日に部分改良した中型セダン「スカイライン」で、電子制御サスペンションを採用した。電子制御サスペンションとステアリング・バイ・ワイヤの技術が連携することで、旋回時により早いタイミングでショックアブソーバーの減衰力を制御するのが特徴。従来よりもロールを抑えることができる。旋回時におけるボディー剛性を高めたのと同じ効果が期待できるという(図1)。

図1 大幅な部分改良を施した新型セダン「スカイライン」
ガソリンエンジンのモデルのうち、GT Type SPと400Rの2グレードでIDS(インテリジェント・ダイナミック・サスペンション)を採用した。(出所:日産自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

操舵と減衰力の制御を連携

 スカイラインは、ガソリンエンジンとハイブリッドの2つのモデルがある。ガソリンエンジンモデルのうち、走行性能に注力したGT Type SPと400Rの2グレードで電子制御サスペンションの「IDS(インテリジェント・ダイナミック・サスペンション)」を採用した。ソレノイド式電子制御弁で弁を流れる油の流量を制御し、ショックアブソーバーの減衰力を変化させるタイプの製品だ(図2、3)。

 ソレノイドに流す電流を増やすと弁が閉じて油が流れにくくなり、ショックアブソーバーは硬くなる。電流を減らすと軟らかくなる。電流の値は、0.3~1.3Aの範囲で変えられる。

 荒れた路面や踏切、コンビニの駐車場での段差などでセンサーが凹凸を検知すると、検知したデータを基にサスペンションのECU(電子制御ユニット)がその後の挙動を推測。車体を水平に保つように4輪それぞれの減衰力を制御する。減衰力は1/100秒の早さで制御可能だ。

図2 スカイラインに搭載するIDS(インテリジェント・ダイナミック・サスペンション)
本体から右に飛び出している部分がソレノイド式電子制御弁。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 ソレノイド式電子制御弁
電流の増減で弁が開閉し油の流量を制御する。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 日産は、このIDSの制御に使用するデータとして、車体が上下した際の情報だけでなく、ステアリング・バイ・ワイヤ技術「DAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)」で使用する操舵情報も活用した。より的確に減衰力を制御することで、旋回時におけるボディー剛性が高まったのと同じ効果を発揮するのが狙いだ。

 仕組みは次の通りだ。まず、車両がカーブなどに進入する際、運転者はステアリングを旋回する方向へと操作する。操作情報は電気信号に変換されてから転舵アクチュエーターに送られて、その信号を基にタイヤが操舵される。

 この時、ステアリングの操作信号を、転舵アクチュエーターに送ると同時に、IDSの制御用ECUにも送信。ECUは信号を基に旋回状況を予測してショックアブソーバーの減衰力を制御する。つまり、ステアリングを操作した瞬間、車両が旋回を始めて傾くよりも前に減衰力を制御して、車体を水平に保つように身構えられるようになる。その結果、ロール時のボディー剛性が向上したのと同じ効果が見込めるというわけだ。

 この機能をDASと連携しないで実現する場合は、旋回が始まってから加速度センサーなどで車体の状態を把握しなくてはならない。センサーが検知した情報を基にIDSの制御用ECUが旋回状況を予測して減衰力を制御するという流れになりタイムラグが生じるため、旋回を身構えるといった挙動にはならない。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら