技術力の低い、または当事者意識が欠如した発注者に当たってしまったせいで、受注者が大損をくらったという話は絶えない。受注者側の証言を基に、発注者としての資質を疑う理不尽な対応を受けた事例を紹介する。日経コンストラクション2014年7月28日号の特集記事を再構成してお届けする。



 自治体だけでなく国土交通省の工事でも、受注者が理不尽な対応をされたという例がある。ある出張所の高架橋の下部工事だ。

 受注者である地元建設会社のB社は、1本のプレストレスト・コンクリート(PC)杭を誤って、数十センチメートルずらして施工してしまった。このままでは構造計算上、強度が足りない。

ミス発覚時
フーチングと杭の平面図。国土交通省のある出張所での杭工事を巡るトラブルを示す。施工者のミスで、1カ所だけ杭芯が数十センチメートルずれた(出来形の規格値外の偏心量)。取材を基に日経コンストラクションが作成
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 施工ミスは受注者の責任で、その補修費用は受注者の負担であることは言うまでもない。B社もそこに異論はなく、建設コンサルタント会社に設計を依頼して検討した。

 杭のずれを直すとなれば、抜いてから新たに打つ必要がある。しかし、長さ数十メートルの杭を抜くとなると、地盤がほぐれ、本体構造物に悪影響を及ぼす恐れがある。

 検討の結果、杭の本数を増やすか、フーチングを増し打ちするかの2案に絞られた。杭は受注生産なので製作に時間がかかる。工期に影響が及ぶと考えたB社は、発注者にフーチングの増し打ち案を提示した。

技術検討結果
建設コンサルタント会社による技術検討の結果、施工ミスをした杭はそのままで、さらに杭の本数を増やさなくても、フーチングの増し打ちで対処できることが判明した。取材を基に日経コンストラクションが作成
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