工事の中断や根拠なき契約のルール――。公共事業の発注者に対して、建設会社や建設コンサルタント会社などの受注者が抱く不満は今も昔も数多い。双方が良好な関係を築くために、今後求められる発注者像とは。発注者に改善を求める受注者の訴えとともに、日経コンストラクション2014年7月28日号の特集記事を再構成してお届けする。



 予定価格に対する落札金額(請負代金)の割合である「落札率」。発注者は、契約変更で官積算による変更工事価格に、当初契約時の落札率を乗じて変更金額を算出している。受注者も長らく、それを当たり前の行為として受け入れてきた。

追加費用精算時の落札率適用の一例。取材を基に日経コンストラクションが作成
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 ところが近年、契約変更における落札率の適用を巡って紛争に至る例が現れ出した。

 施工中に当初契約に記載のない新しい工種(新規工種)が追加された際の契約変更で、落札率が適用されると、実際にかかった費用よりも支払われる金額が下がり赤字になる。そのため落札率の適用は承服できない──。

 高知工科大学の草柳俊二社会システムマネジメント研究センター長のもとには、そんな主張を掲げた契約紛争の相談がよく舞い込む。

 草柳センター長は「落札率に契約上の根拠はない。契約変更での落札率適用はおかしい」と主張する。請負代金は公共工事標準請負契約約款に明記されている。一方、予定価格は官積算によって算出した価格で、契約約款には予定価格や官積算と関連した条項は存在しない。契約上の位置付けのない予定価格を使って計算した落札率に、その後の契約における拘束力はないのだ。

 にもかかわらず、発注者はなぜ契約変更時に落札率を適用するのか。発注者が官積算で算出した予定価格よりも、一定の率で安く工事ができると表明して受注者は落札する。そのため、官積算値をベースに行われる契約変更も、同様の率で実施できるという思いが発注者にはあるのだろう。

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