自動運転は乗用車だけのものではない。トラクターや田植え機、コンバインといった農業機械の分野でも実用化に向けた技術開発が急ピッチで進んでいる。

 背景にあるのが深刻な担い手不足だ。農林水産省の農業構造動態調査によると、2019年の農業就業人口は168万人。直近5年間で58万人も減少している。平均年齢も2018年時点で66.8歳と高齢化が進んでいる。

 その結果、高齢などのため離農する農家が相次ぎ、その農地を近隣農家に預けるなどして1人の農家が耕す面積が広がった結果、田植えや収穫に適した時期に作業し切れないといった問題が出てきているという。これに対し、自動運転対応の農機があれば「学校を卒業したばかりで農機の運転経験がない若者でも作業を担当できる」(クボタの西啓四郎トラクタ技術第一部第一開発室長)メリットがある。

RTK-GPSで無人運転を商用化

 農水省は農機の自動運転について、レベル1(搭乗状態での自動化)、レベル2(使用者の監視下での無人自律走行)、レベル3(無人状態での完全自律走行)に分類。現段階では国内の農機メーカーがレベル2まで市販しており、農水省はレベル3も2020年までに実現させるとの目標を掲げている。

クボタのレベル2自動運転対応のトラクター「アグリロボトラクタ SL60A」
(写真提供:クボタ)
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 農機の自動運転は乗用車などと異なる独特の難しさがある。例えば土壌の硬さや水田の水位の深さなど農地の状態が場所により大きく異なることや、単に走行するだけでなく耕運・田植え・施肥・収穫などの作業をこなす必要があること、走行時に測位誤差があると作付け密度が低下したり作物を踏みつけたりする恐れがあることなどだ。

 耕運や代かきなどの作業を担うトラクターは、クボタ、ヤンマーアグリ、井関農機の国内大手3社がそろって測位にRTK(リアルタイムキネマティック)-GPSを採用。メーカーごとに機能・性能差はあるが、車載のGPS受信機で受信した位置情報と、農地の脇に設置した補正用のGPSユニットの位置情報とを照合して誤差1センチメートル程度で測位する。さらに走行中の車体の揺れをジャイロセンサーで検知して補正することで、おおむね5センチメートル程度の誤差で狙った軌道を走行し、レベル2の無人自動運転を実現させている。

アグリロボトラクタの車体上部にあるGPSの移動局
(写真提供:クボタ)
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農場の脇に設置するGPSの基地局
(写真提供:クボタ)
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