運転手がハンドルやブレーキを操作しなくても自律走行する自動運転車の実証実験は、今も日本各地で盛んに実施されている。だが数日~数週間程度の期間限定で終わるものが多く、実用化されているものはほとんどない。

 だが普段は人目に触れない場所で、2019年7月時点で国内唯一とみられる実用化事例がある。東京電力ホールディングス(HD)の福島第一原子力発電所の構内だ。

福島第一原子力発電所構内を走る自動運転バス「はまかぜe」。仏ナビヤ(Navya)製の「ARMA(アルマ)」を採用
(出所:東京電力ホールディングス)
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 福島第一原発では廃炉に向けた作業が進んでおり、日々4000人超の作業員が働いている。東電HDは2018年10月から、フランスのベンチャー企業であるナビヤ(Navya)製の電動自動運転バス車両「ARMA(アルマ)」を3台導入。「はまかぜe」という名称で、作業員の足として運行している。2019年5月までの延べ輸送人員は約1800人、延べ走行距離は約3700キロメートルに上る。

廃炉作業員の足として毎日運行

 「廃炉作業のため人の往来が多い。構内の移動を効率化して作業員の利便性を高めたい」。東京電力HD福島第一廃炉推進カンパニー廃炉推進室経営資源管理グループの細田知秀課長ははまかぜe導入の狙いをこう説明する。加えて「廃炉自体が『未知への挑戦』なので、自動運転という未知の技術を象徴的に使う意味合いもある」(細田課長)という。

 はまかぜeの運行ルートは3系統ある。

自動運転バスはまかぜeの運行ルート。作業員の出入り口にあたる「入退域管理施設」と各所を結ぶ3系統を設定
(出所:東京電力ホールディングス)
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 構内への出入り口に当たる「入退域管理施設」と作業員の拠点がある「登録センター」の間の往復約2キロメートルで、1日12便を毎日定期運行している。同じ区間を通常の大型バスも運行しており、作業員は選んで乗車できる。「入退域管理施設~高台」の往復約5キロメートル、「入退域管理施設~免震重要棟」の往復約4キロメートルのルートも不定期で運行している。

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