「デジタルガバナンス・コード」と呼ぶ指針の策定を国が進めている。IT利活用に関する経営の指針を定め、指針の達成度を格付けする仕組みも作る。要は企業経営者がITの利活用について積極的に関与するよう促そうという動きだ。2019年10月15日に国会に提出された「情報処理の促進に関する法律」改正法案に盛り込まれ、成立すれば2020年度に運用が始まる。

 日本企業のIT利活用の大きな問題点として経営者の無理解・無関心が何度も指摘されてきた。IT部門が老朽化した基幹系システムの刷新を起案しても、必要性を経営者に理解してもらえず先送りとなる。IT担当者のそうした嘆きを何度聞いたか分からない。

 最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識するようになったため、ITに全く関心を示さない経営者は少なくなった。ただ重要性は理解するものの、具体的な利活用については全くの現場任せという経営者も依然として少なくない。

 それを端的に示す出来事が、IT利活用の先進企業であるはずの2社で立て続けに発生した。スマホ決済サービス「7pay」の一部アカウントが第三者による不正アクセスを受けた事件と、リクルートキャリアが学生の「内定辞退率」を予測したデータを企業に有償で提供していた問題だ。

 7payの事件後、7月4日の記者会見で「7payでなぜ二段階認証を採用しなかったのか」と問われた際、セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン・ペイの社長は即座に答えられなかった。リクルートキャリアの問題では、同社の社長が「サービスの詳細を知ったのは提供後であり、サービスを知った段階でも問題を感じなかった」と記者会見の席上で述べている。

 経営者がシステムやデータの利活用に関わる重大な問題を把握しておらず、ガバナンスの欠如と言わざるを得ない。ITの利活用を現場任せにしていると、経営を揺るがし企業価値を毀損する事態に立ち至る。そんなリスクを改めて思い知る結果となった。

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