リープフロッグ(Leapfrog)という言葉をご存知だろうか。日本語ではカエル跳び、あるいは跳びガエルと訳す。先進国が歩んできた発展段階を一気に跳び越えて、新興国で最先端のサービスなどが普及する現象を指す。

 その最たる例が、中国や東南アジア諸国で急速に普及する多様なデジタルサービスだ。中国のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)、滴滴出行といったIT企業がEC(電子商取引)、キャッシュレス決済、ライドシェアなどデジタルサービスを次々と生み出し、中国は日本を一気に跳び越して米国と並ぶIT活用先進国に躍り出た。

 東南アジアでもシンガポールのグラブやインドネシアのゴジェックがライドシェアを核に急成長し、今やキャッシュレス決済などにもサービスを広げつつある。新興国はこれまで流通や金融、交通などのインフラサービスが先進国よりも大幅に後れていたが、ITを活用した新サービスによって、一気に後れを解消し、場合によっては先進国に先んじようとしている。

 なかでも中国は国を挙げて大規模なリープフロッグに取り組もうとしている。産業政策の「中国製造2025」がまさにそれだ。2025年に「世界の製造強国の仲間入り」を狙う。次世代通信規格の5Gによる移動通信システムや産業用ロボット、電気自動車などを重点分野に製造業の高度化を目指す。

 ざっくりと言ってしまえば、中国製造2025はITをフル活用することで、製造業を一気にハイテク産業にして米国や日本などに追いつき、先んじようという戦略だ。まさにリープフロッグ戦略と言ってよい。

 だからこそ米国の警戒感は強い。米国の技術と経済の覇権を脅かす存在に映る。米中貿易・経済戦争ではトランプ政権による華為技術(ファーウェイ)への制裁措置や、中国製品に対する関税引き上げの行方に注目が集まる。ただ、貿易・経済戦争を仕掛けた米国の最大の狙いは、中国製造2025を抑え込むことにあると言われている。

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