「公表後2日間で株価が3.2%下がった。コンサルティング会社の設立で富士通は成長路線に乗るというシナリオを市場は信じていない」

 富士通を今年辞めた元幹部は、時田隆仁社長が9月26日に発表した経営方針をこう評した。筆者は記者会見で時田社長に質問をした。そのやりとりを古巣から伝え聞いた元幹部は「北川さんの質問に毅然として『富士通はものづくりから撤退する』と明言し、それが報道されていたら市場は歓迎し株価は上がったはず」と笑った。

 筆者の「質問」は以下の通り。「川崎工場や富士通研究所、新光電気工業など(開発・製造拠点)をどう(整理)するのか」。時田社長は「既に方向性が定まっており緩めることなく着実に進めていく。従来から言っている通り(富士通は)サービスに集中した会社になることに変わりはない」と応じた。

 慎重な言い回しだ。富士通はメーカーとして成長してきただけにSE出身の時田社長は「もはやメーカーではない」と言えなかったのだろう。だが富士通関係者の話を総合すると、少なくとも製造からは撤退が避けられないという。前振りとして富士通はこの1年間で研究所や開発・製造部門のトップを入れ換え、今回の人事で通信機器やコンピューター事業のトップ経験者3人を一挙に退任させた。

 製造子会社については塚野英博副会長(前副社長兼CFO)が担当するとみられる。富士通本体の開発・製造部門をどうするのか。富士通子会社のある役員は「時田社長自ら、あるいは信頼の置ける番頭役が、売却や合弁・提携を含めた撤退作戦を短期間に断行すべき」と指摘し、「撤退は勝つための戦略」と付け加えた。

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